Yamatabi-CLUB000
0野坂山地・高島トレイルの一部を行く…琵琶湖を望みながら歩くスカイラインは最高!
湖西レジャー号の乗車は、今年になって2度目の乗車。前回はマキノ高原スキー場から右手方向の赤坂山、今回は同じスタート地点であるマキノ高原スキー場から左手方向の寒風・大谷山に向かってのスノーシュートレッキングです。
私達は尼崎で乗り込み余裕の座席確保。次は大阪駅で乗り込む仲間達を迎えることにしました。「いた、いた!171aの長身のトラ吉衛門さんが視覚に入りました!」仲間の分まで「席取り」はできませんが、今日は比較的空席が多く全員座席を確保することができました。マキノ駅まで立つと座るでは大違いです。

新大阪駅に向かう電車の中で仲間の携帯電話が鳴りました。「マナーモードにするの忘れてたわ」と言いながら電話に出ると何と兄弟の訃報を知らせる電話でした。あわてて新大阪駅で下車(山頂でなくて良かったね。気を付けて!)
そう言えば昔、剱岳に登る手前で訃報の知らせを受けて、とんぼ返りしたメンバーがいたり、白馬岳山頂で主人の訃報を聞いた仲間もいましたっけ。そうそう我が家も、尾瀬の帰りに越後湯沢で宴会中に父親の訃報を聞いたっけなぁ・・・。

スノーシュートレッキングは荷物が多くて大変ですが歩き始めると爽快に歩くことができます。車内から見る伊吹山は真っ白かなあ。朽木の山々もブナ美林がきっと美しいのだろうなぁ。あのメタセコイア並木はどんな姿なのだろうかなぁとワクワクします。高槻駅でじゅんちゃんも乗り込みました。これで全員集合です。
湖西レジャー号は近江今津駅で切り離し作業が行われます。敦賀まで行く、前4両は非常に混雑します。私達はあえて切り離しされる近江今津駅までの車両に乗り近江今津駅で前の車両に乗り込みます。ここまで来たら車内はガランガランでマキノ駅に着くまでにトイレを済ませ、合羽やスパッツを装着するのです。マキノ駅に降りると湖国バスが待っていてくれます。どこまで乗っても220円でしたね。あのやさしいドライバーさんと出会えばいいなぁ。
マキノ駅はいつも静か バス停は少しだけ賑やかです メタセコイア並木は冬枯れ中 大谷山の稜線がくっきりと
安曇川駅から乗り込んだ老婦人が腰を曲げ、足下をふらつかせながら危なかしげに隣の車両に乗り移ろうとしています。見ちゃおれません。走り寄り隣の車両への移動を手伝います。マキノで下車すると老婦人も待機していた駅員さんに下車のフォローをしてもらって、バスの列の後に並びかけます。見かねた姫が
「みなさ〜ん!この、おばあちゃんを一番前に並んでもらいます。文句のある人いますか〜?」と並んでいる人達に向かって叫びました。誰も文句を言う人はいません。言えるわけ無いやろ。
バスの中でも手押しのカートが動かないようにシュリンゲで確保して目的地の「さらさの湯」で一緒に下車しました。聞くところによると一人でマンションに住み、マンションにはシャワーしかなく時々温泉に来ていること、温泉に来ているのが家族に知られると怒られることなどを話してくれました。
「おばあちゃん!家族に反対されても元気で歩いてここに来れるという幸せを感じてね!。あの世にお金は持っていけないから自分のためにしっかり使ってね!」(大きなお世話かなぁ〜)きちんとお化粧もしてるし、身繕いもきちんとされていましたが一体何歳なのか気になるため姫が聞きに走りました。そしてみんなにクイズを出しました。
「今のおばあちゃん何歳だと思う?」みんな口々に「75歳、78歳、80歳、82歳」と言いましたが正解は「67歳」でした。うっそぉ〜!!
ジョンがしょんぼりして応えます。「来年は俺もああなるのかぁ…クスン」
人間は年齢ではありませんぞ。いかに元気で山登りできるかですぞ。
マキノ高原スキー場の中をあがっていきます
「さらさ温泉」からしばらくツボ足歩きを楽しみましたが、今日は雪が重く感じます。しばらく歩いてスノーシューを装着しました。
身支度が整えば「寒風」の標識に沿って登り始めます。以前私達がつけた道標はまだ存在しているのでしょうか。今年は雪も多く、2〜3日前のマキノの積雪は130センチでしたが今日は105aに減っています。前々日の雨と二日続きの晴天のせいでしょう。
右奥の山蔭に赤坂山があります。大谷山は画面を外れてずーと左方向です。
赤坂山・寒風・大谷山は、滋賀県と福井県の県境に位置し、野坂山地の北部にあります。高島トレイルで馴染みの道ですね。赤坂山(824メートル)・寒風(853メートル)・大谷山(813.9メートル)と三山とも800メートル級の範囲内にあり、緩やかな尾根を形成し、草原のような表情で、登山道がシュプールを描くようになっています。そこに深々と雪が積もるとまた景色はおとぎの国の様に様変わりをしているのでしょうか。動物たちの足跡はあるのかしらとワクワクしてきます。雪の下に眠る草花を雪の上から「もうすぐ春ですよ」と起こしてくることにしましょうか。
私たちが準備している間に、10名ほどの若い女性のグループが通過します。全員デイパックにタブスのスノーシューをくっつけています。タブスは林間コースには適しているようですが山岳モデルはなんと言ってもMSRでしょう。我がやまたび倶楽部は全員MSRです。MSRは両サイドに長い歯が付いているのでテールのブレが少ないですまたメインの歯も止まった状態で雪面を噛んでいるので大丈夫です。あるメーカーのものは止まっているとき歯が引っ込んでいるので八ヶ岳のアイスバーンでツルツル滑ったことがありました。
続いてデイパックの若いカップルが通り抜けます。
ここでスノーシューを履いて ゲレンデは急傾斜です 若者二人は早いよ ただ黙々と歩きます
じゅんちゃん…今日も元気 リフトのないゲレンデは誰もいない 最初は緩かったゲレンデも
中ほどから傾斜が急に ゲレンデも終わりいよいよ樹林帯に 山ガールと山が有る
出発してしばらくすると追い越していった二つのパーティは準備をしていました。ここで私たちがスキー場のゲレンデに先に取り付きます。急傾斜をゆっくりゆっくり上っていき、樹林帯に入る前に記念写真を撮っていると若いカップルが元気に追いついてきました。
「お兄さ〜ん、シャッター押してください」 大阪のおばちゃんの黄色いダミ声がスキー場にコダマします。
シャッターを押してもらい、ここで先頭を若者たちに譲りました。
私達の歩く前をアベックがスノーシューも履かず、かんじきも履かず、ツボ足で大穴をあけて登っていきます(歩きにくいやんか〜)こんな積雪状態でツボ足で寒風・大谷山コースはいくら若いからといっても無茶です。
今日のトップはアドベンチャーさんにお願いすることにしました。トップを歩きなから、時々振り向きながらメンバーの体調や速度を考えながら登ってくれました。途中で休憩している「ツボ足のアベック」を追い越しました。やれやれこれで大穴が消えて、歩きやすくなるぞっ。
ある程度高度を稼ぐとスキー場が真下に小さく見えます ゆっくりゆっくりリズムよく登っていきます
雪が深いと枝が邪魔して夏道のようにはいきません…秋の終わりに背伸びしてつけたマークも低い位置にあります。
風もなく着衣を1枚づつ脱ぎながら寒風にむけて登っていき、樹林帯を抜け出るといきなりの強風にあおられました。
「キャーッ!根石岳みたいやな!」 突然に襲来した突風は瞬間風速15bはあったと思います。気をつけないと吹き飛ばされそうになります。
スノーシューは初めてのトラ吉衛門さん、あっちふらふら、こっちフラフラ。「誰が名付けたんや〜寒風って!名前の通りやんか〜」
左手に大谷山が見えてくると寒風もまじかです。最後の急登…これがきつい!
寒風到着でーす 写真班のオリオンさんは後から登ってきています
全員そろって寒風で琵琶湖をバックに記念撮影
ここ寒風での昼食は無理です。
約1時間かけて大谷山を越えて石庭道で風を避けることにしました。尾根筋には樹木は無く、吹き曝しです。時々、トラ吉衛門さんが立ち止まって突風に耐えています。歩き出すと風下のほうに流されている様子。
「もっと右を歩いて。転がったら谷底まで行っちゃうよー」
アドバイスする私も、風に煽られフーラフラ。
硬い雪面をとらえるように一歩一歩前進です。
幸い横風でしたので、何とか歩けましたが、これが向かい風なら立ち往生です。
昨年の6月13日に高島トレイル第2回で歩いたこのコース。その日は濃霧で何も見えない状態でした。ただ黙々と歩いた記憶が蘇ります。ここのスカイラインは天気が良いと最高に気持ちが良いです。
やがて寒風の尾根の先端に出たようです。ここからシリセードで一気に寒風と大谷山のコルをめがけて滑降。「左に行ったらあかんよー。谷底に行くよー。右に行こう、こっちなら谷が緩いから大丈夫」 コルをめがけて全員滑降です。
←颯爽とスノーシューデビューのトラ吉衛門さん
わずかな樹林と小さなアップダウンを過ぎると尾根の先端に出ます。
ここは鵯越の逆落としとでも形容したいような急坂です。滑り始めは恐いくらいです
大谷山への最後の登りです、クラストしていて歩きにくいのと風がきついのが画像から伝わらないのが残念です。
大谷山の登りで先ほど滑降した斜面を振り返ると後続の若者二人が滑り降りていました。左方向に滑ったら谷底ですよ。
この辺りは強風のためか、山肌に雪が少なく笹原が顔を出しています。雪のあるところはクラストしていてスノーシューの歯も食い込まないほどです。ここはアイゼンのほうが良いね。ストックよりはピッケルが必要だな。そんなことを考えながら、やっとの思いで大谷山の山頂に到着です。三角点はあるものの、さすがの姫も「デンの記撮影会」を口走ることはありませんでした。それどころか気が付けば、風に吹き飛ばされないように三角点にしがみついているではありませんか!とりあえず訪れた証に記念写真を撮っ「はよう降りよう」
デンの記撮影会  姫、独り占めかよ…風に飛ばされそうやからつかまってるの
大谷山から石庭道・展望ルートに入るところを探しながらジョンが歩いていたのですが
 「ここはアカンもっと右を歩いて。雪崩の破断層が口をあけてる。展望コースにはいかれへん」そう言いながら慌てて引き返してきました。雪崩の起こる雪面の最上部を歩いていたようです。今日この辺り一帯には雪崩注意報が発令されておりクワバラクワバラ
展望コースはあきらめ、もう少し西南方向にある石場道の尾根を探します。トレースらしきものが見えません。風に吹き消されているようです。振り返ると大谷山やその稜線の南側に張り出した雪庇が今にも崩落しそうです。
そんな中でも、大谷山頂上からは琵琶湖と白山を眺めることができました。きれいやったなあ。

オリオンさんとジョンがGPSでルートを割り出しています。
アドベンチャーさんは前を歩きながらルートファインディングをしています。尾根からはるか下にトレースらしきものを見つけ、「ここを降りて向こうの尾根と合流するところを目指そう」 尾根を巻かずに高いほうに少しあがって、ここも一気にシリセード滑降です。シリセードこれはもう止められへんわ。
石庭道の尾根に入ったところで、風のない場所を見つけ、昼食タイムとしました。食事を終えたじゅんちゃんが「やっとこれで元気取り戻せたわ」そう言えば恐ろしい風との闘いですっかりお昼が遅れていたのです。時計を見ると13時をとっくに過ぎていました。
大谷山からは尾根伝いに歩き、斜面では尻ソリを楽しみながら、石庭の集落に下山したのが16時すぎ。オリオンさんの調査によると16時29分発のバスに乗り遅れれば、あと1時間待ちとなるそうです。急ぎ足でバス停に向かいます。「オリオンさん〜大谷山をバックに写真撮って〜」と言うと、いつもはゆっくりめのオリオンさんが「あと9分しかない!急いで!」と言いながら写してくれた1枚です。いい写真じゃあないですか。
それからは「あと7分」「あと5分」「急いで!」とみんなに促しながら先導してくれました。おかげで、わずか3分待ちで何とかバスに間に合いました。バスに乗りJRマキノ駅に到着したのが16時40分、JRマキノ発16時50分
(最終の新快速あとは普通電車しかない)と全てラッキーで車内も空席が多く、みんなでスノーシュー談義に花を咲かせていると「帰りに一杯飲もうか」と言うことになりトラ吉衛門さんとjunkoちゃんを海老江まで拉致し、美味しいお酒を飲みました。ウィ〜酔ったぞ〜
みんなの感想
junkoちゃん
久々のスノーシューで雪の洗礼を2回うけました。楽しかったです。雪山は良いなあ。アドベンチャーさんのリードは最高。安心して付いていけます。下山後田んぼの溝に はまって大騒ぎ、あれも楽しかったなあ。
トラ吉衛門さん
おせわになりました。初めてのスノーシューで思い出多い日になりました。風の強さにはびっくりしました。シリセード楽しかったです。ありがとうございました。
アドベンチャーさん
大変さむかったです。天気に恵まれ、楽しかったです。寒風って誰が名付けたのでしょうね。その名のとおりでした。昔の人に感服!
じゅんちゃん
たのしかったです。少しさむかったけど楽しかったです。また連れてってください。
オリオンさん
寒風大谷山のところは、雪が凍っていてすごく怖かったです。尻ソリで滑りました。これもひとつの思い出だと思います。
ひめ
改造したソリは怖いほどスピードアップして滑りましたキャハハ。これがあるから雪はやめられません。春までに、もう一度あるといいなぁ。
ジョン
突風、トレース消失、雪庇など、これもすべて雪山です。もっともっと雪山の知識を身につけて、がんばって楽しみましょう。

参加された方は上記のMAPをよく読んで実際の地形を思い出しながら確認してください。
文:美智子姫00000 写真/GPSデータ:鹿島秀元