敦賀湾を見下ろす若狭の野坂岳(913.5m)から南に延びて、琵琶湖を眼下に見る奥牧野の大谷山(813.9m)まで連なる野坂山地、「若狭」と「越前」の国境尾根を通っていることから、若越国境尾根と呼び古き岳人に好まれていたところだが、ここを訪れる登山者が減ったため、樹木は茂り、踏み後は消え積雪期以外の入山は難しいものがあった、しかし近年 『 高島トレイル 』 と称して開発され、マキノの愛発越(あらちごえ)から赤坂山や大谷山、今津の山々を通り、朽木の三国岳に至る、およそ80kmのコースが拓かれ、中央分水嶺の道として多くのハイカーを受け入れている。
今回はその一部 『赤坂山』 を目指してみた。
マキノスキー場の奥部で調子の滝方面に行く途中に赤坂遊歩道の登山口がある。標識があるので良く見て取り付く。ブナ林の中をゆっくりと進んでいくと1時間ほどでブナの木平のあずま屋に着く。雪に覆われていて全景を目にすることは出来ないが、屋根を覆う雪と降り積もった雪の間に中に入っていけるくらいの穴がある。風のきつい日や緊急のビバーグには役に立つだろう。
ここからしばらくいくと左側に沢筋を見るように進む。石積みの堰堤を左岸から越えると少し急な九十九折のトレースを辿る。あずま屋から1時間ほどで高圧線鉄塔のある平原につく。此処は粟柄越、道標は雪ノ下で明確ではないが間違いは無いだろう。右手奥の台地の向こうに赤坂山の頂上が確認できる。頂上までは20分ほど。
この日の頂上は風もなく最高な天気だった。明王ノ禿は雪を被っているものの何となく荒々しさを漂わせている。その奥の三国山も頂を表している。振り返れば寒風への道がくっきりと見えるところだが今日は雪原が広がっているだけで1本のトレースもない。小動物が踏んだと思えるような道筋が彼方まで延びているのがアクセントになって無機質な雪面に動物の息吹を演出している。
雪道の下りは早い、膝への負担もすくなくドンドン進んでいける。急斜面はシリシェードでショートカット。往路で喘ぎながら上った坂ほど簡単に下れる。登りは2時間30分かかったが下りは1時間40分ほどで下った。天気が良いことは最高に良い山行が出来る。そう感じながら『高原温泉さらさ』に到着。

右上の×印でお戻りください