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「琵琶湖バレイ、雪あんのんかいな」 「蓬莱山の天辺まではあるに 決まってるけど、問題は小女郎池への道やな」 「そうそう、この前は雪少のうて坂がぬかるんでるとこあったよ ね」 メンバーの会話にリーダーは腕組みをして 「蓬莱山の頂上、見てから決めましょか。箱館山やったら間違いな いし」 の蓬莱山が左手の見えて来た。結構多そうに見えるが木立のせいでどうしても少ないように見えてしまう。加えて 「小女郎池は何べんも行ってるし」 の一言が決定的だった。「箱館山にしましょう」近江今津まで足を 延ばすことになった。 やまたび倶楽部ではバスに乗り換える時に大概は誰かがへまをやってくれる。 |
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サスケさん |
今回はリュックの開 け閉めが趣味のようなオリオンさん、姫が「いちにいさんしい、あれ誰か居れへん」「運転手さんもう出ます?」 「出ます」「あと一人いてますねん。呼びに行きます」 乗っていたお客が飛び出したら運転手は出そうにも出せない。二人で走って来て「ハイ、お待ちどうさま」 「あれ、今日は発車オーライって言えへんね」。 |
バスは終点箱館山に着いたが車はおろか人影けもまばら、ゴンドラは全然雪のない斜面をほとんどからで動いている。悪い予感がよぎったのはサスケだけではないだろう。切符を買っているうちに瀬田工業高校のゼッケンを付けた如何にもスノボーという風情の団体が降って沸いたように現れ、これなら雪がないはずがないと人心地がついた。 スキー場や海水浴場はやはり人で込み合っていないと何となく落ち着かないものだ。 |
ゴンドラに乗りしな 「昨日雪が降ってトレースはないけどここへは来た事はありますか?」 「もちろんあります」 「4時までには帰って来て下さい」の会話に雪はあるあるともう一度安心する。 ゴン ドラが稜線を越えた途端にこれでどうじゃと言わんばかりの雪が現れた。 よくしまって靴がをきゅっきゅっと鳴る。 ゲレンデの端を左回りに歩いてクロスカントリーのAコースへ入った。 |
途中コースを右へそれると処女湖と言う艶かしい名の池がある。見下ろすとただの雪原、凍って雪が積もって いるのだ。サスケが先頭でトレースが無いので木と木が空いている間隔でここが恐らく道だろうと判断して進む。その名のとおり、処女は怪しく我々を誘う。切り立った崖に出会い道を失ってしまった。リーダーが斜面を下りて道を探した。しばし待機する我々に声が聞こえた気がした。 | ||
「来い言うてる」踏み後をたどった。「俺が見えるかぁ」 「見えません」「いや見えてる、この下や」「ハイ見えましたぁ」「ロープ投げて」見通せる所まで下りないと木が邪魔になってロープダウンは出来ない。ロープを8ノットとカラビナで木に固定し、スリングでスワミベルトを作りATCが無いので半マストでその場まで懸垂下降、ロープを投げたが団子のまま投げてしまった。ロープアップしてもつれをほぐして再びロープダウンしようとしたらリーダーはもうすぐそこまで登って来ていた。それでも折角ここまで用意したのだからとほんの5m程をロープを使って上がってもらった。ロープワークでもたもたしたのは経験不足で仕方ないにしても残念なのは姫とサスケ以外のメンバーがただそばで傍観するのみ、ひどいのに至っては「わたしゃこの人たちとは関係ありません」とでも言わんばかりの高い位置に陣取って見物をきめこんだ事だ。皆リュックにはスリングをカラビナでぶら下げているのだからせめてすぐにリュックから外して手渡す用意位はするべきだろう。
奇麗に飾り結びをしたスリングをほどきたくない気持ちは分かる気もするが。 |
昼食後、元のコースに戻った。新雪が優しく覆った路面はそれこそ処女の肌のような滑らかにうねっている。おまけに昼の太陽を浴びてその雪面は少し溶けかかってキラキラと輝いている。そんな雪面を無惨に踏み荒らすのはが気が引ける。所々に処女の肌にミシンをかけたようなうさぎや鹿の足
跡、もっと体重の軽いリスかテンかがそっと歩いたような点々が罪悪感のせめてもの救いになる。雨でない事を祈りつつ、せめて曇りのままでと入山したにもかかわらず、いつの間にか日がさしている。いくつものゲレンデの後を回
り込んで最後のゲレンデへ出た。リフトのおじさんは「何処を歩いてもええよ」この言葉に我が意を得たか姫はかねて用意の尻ゾリであっという間に下まで滑ってしまった。箱館山はゲレンデは数多いがどれも距離が短い、長いのでも200m程、ここは100mそこそこか。尻シェードを試みたがカッパでなく普通のズボンでは全く滑らない。爽快そう
なのを指をくわえて見ているわけにはいかない。下まで下りてリュックとスノーシューを外して登り返して尻ぞりを使ってみたがこれが案外に難しい。まっすぐ滑り 降りたいのに横へ横へ振られるのだ。思い切り体重を移動して無事 皆の横へ滑り込んだ。 |
↑ゴンドラで下山でーす。 スキー場だけにレストハウスがしっかりしている。 皆で一杯やってから下山する事になった。 スーパードライが目にり500円はするだろうと思ったら350円、実に良心的だ。 レーションを持ち寄ってあてにして雪の奇麗さを讃え合った。帰りの電車で比良の麓は雨、 「蓬莱へ登ってたら絶対雨に会うたな」蓬莱山の南側はうっすら青空が見える。 ←ゼーンジェーン怖くない 『ヤンキーというよりは』…『ヤンチャー』 |
「あっ、虹や」リーダーが袖をめくって時計を見る恰好で「あっ、二時や」 誰も相手にしない。虹は左の車窓、薄いぼんやりとした赤青黄三色の弧が見える。虹は七色と言うがサスケはそんなん虹は見た事が無い。おおむね三色だ。三色の虹でもこの虹の弧は琵琶湖の湖面から立ち上がっている。こ れはなかなか珍しい景色だ。山科で新快速に乗りかえたがヤッケの上から腕が冷たくなって来る。大阪駅でホームの冷たさを覚悟して降りたら何の事は無い。朝より遥かに暖かい。山科の北の蓬莱、そのまた北の箱館にあんなに雪があるのは当然と言えば当然か。 |
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●オリオン | 雪質よし、天気よし、見晴らしよし、最高! | ||
●淳ちゃん | 人も少なく、天気もよかったし最高!ゲレンデには若い子がいたが、残念ながら我々のところにはおらんなぁ | ||
●ちえちゃん | 雨が心配でしたが何と快晴でした。雪はサクサク。小女郎池コースでなくて良かったわ〜 | ||
●実ちゃん | 楽しかった。スノーシューも外れる事なく快適。やっぱりマイスノーシューはええなぁ | ||
●ポチ | 箱館山に変更してよかったです。靴ひも指導も受けたし、実り多かったです。でも次からの例会がこわっ〜。 | ||
●ジョン | 朝、下から見る箱館山は雪が見えなくてあせったなあ。帰りの電車から見る小女郎池コースは吹雪の様相。箱館で正解! | ||
●ひめ | 姫のページに来て見てくださいね。 |
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文:サスケさん | 写真&GPSデータ:鹿島秀元 |
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