Yamatabi club
2009.10.11〜12

鳳凰三山は山梨県の赤石山脈(南アルプス)北部の地蔵ヶ岳(2,764m)、観音ヶ岳(2,840m)、薬師ヶ岳(2,780m)の三つの山の総称を鳳凰三山と呼ばれていて日本百名山に数えられています。ひょんなことから鳳凰三山に登ろうと前々日に決行を決意し、忘れ物の無いように注意しながら食材の買い出しに行くことにしました。今回はテント泊と洒落込みました(洒落込む?ここは冒険心が大きいと言った方がいいかもね・・・)
此花を10日土曜日の午後5時前に出発し名神高速、中央自動車道を通り、
「今なら甲斐駒、仙丈岳に行き先変更可能やで」そんな冗談を言いながら、中央道を走ります。 夏山で行った甲斐駒仙丈への道とほぼ同じコースを走り、須玉1Cで高速を出てから、1時間ほど悪路に悩まされつつ青木鉱泉駐車場に到着したのが11日の午前1時過ぎに到着。車の横でテントを張り仮眠をしようと計画をしていましたが寒さと仮眠時間がわずかのために車の中で仮眠をすることにしました。
「狭いながらも〜楽しい我が家〜」と歌いたくなるようなスペースではありますが、夜露がしのげれば贅沢を言ってはいられません。11日の早朝5時、食材の分担をし、ヘッドライトをつけて青木鉱泉の前を通過しました。廊下には赤々と灯りが点り登山開始の人達が身支度を整えている様子がシルエットで確認することができました。
青木鉱泉は鳳凰三山登山口にあり標高1300メートル、森の中にひっそりと佇む一軒宿。江戸末期からの歴史があり、鴨居造りの木造建築。泉質は緑礬泉らしく下山時に入湯できるのを楽しみに宿の前を通過しました。
鬱蒼と茂る樹林帯を登っていきます 途中、いくつもの枝沢を渡ります 滝への分岐で一休み
滝があるごとに 滝見物 ザックをデポしておいて滝を往復   13kgのザックを降ろして空身で滝へ
出発前に鳳凰三山を調べていたらドンドコ沢というおもしろい名前の沢があり、4つの滝を楽しみながら鳳凰小屋をめざすコースを選びました。

ドンドコ沢のことを
「とんでもなくひどいコース」
「決して下りで使ってはいけない」
「ドンドコ沢ルートはは御座石ルートの倍時間がかかる」
「滝が見えない」

などの誤った情報に左右されることなく晩秋の色鮮やかな紅葉と空の青さと滝の透明が素晴らしく
「ドンドコ沢コースは最高!」と心の中で声を大にして叫びながら歩きます。
最初の滝は「 南精進ヶ滝」登山道にリュックを置いて滝見物に出掛けます。背中が軽くなった分、足取りも軽く観光気分になり滝見物を楽しみました。2つ目の滝は「鳳凰の滝」、3つ目は「白糸の滝」、最後の滝は「五色ノ滝」と続きます。どの滝もそれぞれに特徴があり思いがけないご褒美をもらった気分になりました。真っ青な空から、いきなり流れ落ちた様な五色ノ滝は水面に金粉を思わせる様な輝きを持ち、思わず「砂金かも知れない」と手ですくってみたりしました。ドンドコ、ドンドコとジグザク道やザレ場の急登を歩き続け鳳凰小屋に到着したのは丁度お昼の12時。受付を済ませ、指定された場所にテントを張り、一息ついたところで缶ビールを買い、テラスで乾杯をすることにしました。酒の肴は丹波の黒豆の枝豆とイタドリでここでは何を食べてもご馳走に思えるから不思議です。
「ひと眠りしてから夕食の用意にとりかかろう」と言うことになっていましたが太陽が沈むと、かなり寒くなることから午後3時には夕食の支度にとりかかりました。メニューは
「すき焼き」です。前日に並んで買った高級肉ですがアッと言う間にペロッ!と完食と残った汁の中にサトーのご飯をぶち込み「おじや」を頂きました。おいしかったで〜す。 
 南精進ケ滝 鳳凰の滝
 白糸の滝   五色ノ滝
ドンドコ沢は苦しくても楽しいルートです 沢筋に下りて一息 重い荷物から開放されます
17kgのザックは堪えます 過ぎ行く秋を満喫します もうすぐ小屋です
 テント場の近くから見た地蔵岳オベリスク…明日はあの頂です
鳳凰小屋全景 煙立つ 小屋は夕食時 テント場も大賑わい 夕食は「すき焼き」です
近くの沢で洗い物 テントの中は狭いながらも楽しい おい! ポチ…早くもお休み
 「さあ寝ようか」と時計をみたら午後5時・・・今から寝たら朝までが長すぎるのですが外は寒く、テントの中の温度も5度しかありません。寝袋にくるまって寝るしかないのです。しばらくすると「プーッ、プーッ」と狭いテントの中でラッパが鳴り響きます。「酸欠になるからこんな狭いところでせんといて〜!」姫の悲鳴は隣のサスケテントまで聞こえていたようです。ポツンポツンとしか張られていなかったテントも夜トイレに行く頃には満杯で足の踏み場もありません。ロープに足をかけないように注意してトイレの列に並びます。空は満点の星が輝き、明日の晴天を約束してくれました。


文:美智子姫

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