夏山・甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳に向けて
 
 基礎トレーニング

雨を覚悟の夏山トレーニングAでしたが照りもせず降りもせずの絶好のトレーニング日和で、受講生6人で楽しく実技トレーニングを終了することができました。
いつもは地獄谷に降りて、帰り道に中央稜を利用するコースが常なのですが、今日は、やまたび倶楽部ではめずらしいロックガーデン中央稜を登るコースです。堰堤でミーティングをしていると子育て中と思われるママさんイノシシが散歩していました。思わず
「ロックガーデン名物のイノシシや〜写真!写真!」
どっちがイノシシかわかりません。
人の流れも「雨かも」で、出足が鈍く、混雑する様子もありません。天気のみならずインフルエンザの影響で子供達が自宅待機の影響もあると思います。
途中の岩場を利用して何度も上り下りの訓練をします。
靴裏をべったりと岩に押し付ける。
傾斜した岩の上にもすっと立つ。
ステッキはバランスをとるために使う。

そんなことを注意していきます。

休日のロックガーデンとは思えないほど静かで、トレーニングに、もってこいの状況でした。第一鉄塔からA懸垂岩に向けて下っていきます。
両手で岩や木の根を持ったとき覗くようなカッコウで胸元に空洞を作るような格好にならない。もし手が滑ったとき顔から転落します。
岩から降りるときはすっと立って静かに足を下ろすとバランスが崩れない。

A懸垂岩に近づくとヘルメットを被った団体がA懸垂岩に群がっていました。初歩のそのまた初歩の訓練の様子で低い位置でカニ歩き(トラバース)の練習を40人くらいでしていました。
「わっ、道に迷った」「間違ったどうしよう」「次はどっちにいくの」
まあ喧しいこと、うるさいこと。

足早にA懸垂岩を通過し、ザレ場の中に入っていき、B懸尾根をピラーロックに向かいます。
ザレ場の歩き方で登るときには靴の内側に力を入れるインサイドステップ。下りは靴の外側に力を入れるアウトサイドステップステップを繰り返し練習。最初はザラザラ滑っていたのに数回練習をすると難なく歩けるようになります。

また足場の悪い段差の岩を乗越す場合のシュリンゲの使い方、引き上げ方を全員で何度も繰り返します。太陽も出てなくて紫外線もきつく感じず熱心に練習が続きました。
(暑いとへばるよ、きっと)
表六甲の山系は岩登りや一般登山のトレーニングに適しておりロックガーデンの愛称で親しまれている。また有馬温泉から南に入った山系で、百間滝や白石滝を有する一帯はアイスガーデンと呼ばれ積雪期は雪山のトレーニングに使われているが昨今温暖化により積雪が少なくなってきたことは残念である。いずれにしても登山をやる人達にとって六甲山は日本有数のゲレンデで有る事に違いは無いし、そのゲレンデをいつでも使える環境にあることをうれしく思い、中高年の安全登山を目指してトレーニングに励んでいこうではありませんか。
B懸尾根でシュリンゲを使ってサポートを練習している間に、40名以上の団体さんが私達の横を通り過ぎていった。
その姿を横目で見ながら危険箇所の通過を想定してトレーニングを続けます。

参加者の中には
「どうしてこんなことを練習するの」
というような意見もありますが
「山は『歩け』とは違います。サポートはしますが、あくまでも自身の手足で通過してもらわなくてはなりません。岩場もあれば沢筋もあります、岩場や沢筋は恐くて通過できないとなれば、里山歩きしかできません。リーダーである以上全体を見なければなりません、一人や二人の人に手をとられていて全体を見ることが出来ない人はリーダーとして失格です。そのこともよくわかっています。解った上でサポートしてきたのですが、これも限界に達しています。ご理解をいただいた上で各自レベルアップを目指してください。自身をレベルアップさせることが安全登山の早道であることを知っておいてください。危険な現場で手を貸して安全に抜けるよりも、手を貸さなくても難なく通過できる登山者を育てることがやまたび倶楽部の使命と考えております。」
「飯にしよう」と言ったのがピラーロックのザレ場。
丁度12時。
腹時計とピッタリと合っています。しばらくすると若い美人女性2人が道に迷った様子で「あの〜ロックガーデンへ行きたいのですが」とジョンさんに聞きます。「このあたり一帯がロックガーデンですよ」とにやけた返事をしています。その後、親切に中央稜に行く道を教えて見送ってあげていました。中高年のおばさんが聞けば「あっち」と指さすことでしょう。(笑)
昼食後もザレ場の足の運び方を何度も練習し、クロスステップを練習しました。傾斜がきつい場合に有効な歩き方です。
その後、某さんのリュックの中身点検をすることにしました。ご本人も嫌がらずシートの上にリュックの中身を全部出してくれました。「あら探し」ではなくて荷造りの勉強ですので念のため。リュックの中身を見て一人づつ感想を述べました
@みかんが丸ごと入っているが今後は皮を剥き、一口サイズにラップに包む
Aポケットチィッシュが沢山出てきたが多くて2個もあれば充分
B飴は1袋でなく自分のたべる個数のみ(3個もあれば充分)
C合羽、スパッツはリュックの大きさにきちんとジッパーを閉じてたたむ

全体的に行動食が多すぎるという結論に達しました。
今後の参考のために姫のリュックの中身も出しましたが何度も勉強し叱られているので「合格」。靴洗いのタワシがぶら下げてあるのを笑われてしまいました。

某さんが前屈みで歩くのは、現在のリュックの精かも知れないと言うことになり、帰り道、姫のリュック、JONのリュックを交換して背負い機能性の良いリュックであることを体感してもらいました。するとどうでしょう、姿勢が治り、スムーズな足運びで下ることができました。帰りに早速、梅田に立ち寄りハーネスもリュックも買うそうです。
講習で聞いたことを普段の登山で実践することが大切です。僅かな足の使い方、体の使い方を正しくすることで一日の疲労度はずーっと楽になります。
また知らず知らずのうちに危険な姿勢をとっている場合もありますので仲間に見てもらってください。
やまたび倶楽部では他の山岳クラブよりゆっくりと歩いています。これ以上遅く歩くことは出来ませんので皆さん体力をつけて列についてきてください。

みんな受講するたびに上達していくので、とてもうれしいです。

今日はポチも何事もなくホッ!

文:久田美智子

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