Yamatabi CLUB  
 雪の立山への道程---------------------
 2008.5.2-4---------------------
やまたび倶楽部の第一回目の春山登山の行き先に「立山・雄山」を選んだのはサスケ氏の「雪の立山が見たい」の一言だった。
ゴールデンウイークの「立山・雄山」はアクセスもよく、交通の最終地点からの標高差も少なく日帰り往復登山が可能なため案外よく登られている山である。しかし安易な気持ちで登れる山ではない。過去には多くの死者も出しているし、何と言っても北アルプスの3000m級の山でありしかも雪山なのである。

12本爪アイゼンとピッケル,ヘルメットの使用を条件に参加者を募ると6名の希望者が手を挙げた。以前から持っていた人、急遽購入した人などさまざまだったが「雪の立山・雄山に登りたい」という共通の希望のもとに雪山のトレーニングを始めた。

まず第一歩は、アイゼンを装着し、ヘルメットをかぶり、ピッケルを片手に六甲山系・芦屋川支流の地獄谷を遡行するのである。堰堤の砂地でフラット歩行の足慣らし、左右の足を握り拳二つ分くらい開き、靴先を正面に向けてショートピッチで歩く。水平に近い地形では、こうして歩けばアイゼンを引っかけることはない。

続いてガレ場へと入っていく。静荷重、静移動で石ころを落とさないように上手に踏んでいかなければならない。すべての爪が石に掛かるわけが無いので少ない爪の掛かり具合にあった体のバランスが必要になる。不安定な多少動く石に靴の一部で乗るため、正しい歩行テクニックが身についているかどうかはこのあたりで解ってくる。転がっている石の安定具合を見ながら足を置くのも歩行テクニックの一つである。

地獄谷は高度を上げるたびに谷の様相が変わってくる。
大石小石の上をバランスよく歩かなければならないところ。水の流れる小滝あるいは枯れ滝。小さいながらも滑滝もある。それらの場所を前爪を使って上っていく。谷の中を歩くため数歩だが流れの中に足を入れて進むところもある。

5mくらいの逆層の滝は足元が滑りやすいため爪の掛け場所がポイントになる。ホールドはしっかりしたところがあるので良く見て掴む。ピッケルをトラクション気味に掛け体を安定させて足場を上げるのも一計。トレーニング中、足が滑って宙ぶらりん、岩に掛かったピッケルとそのリーシュに助けられたメンバーもいた。

連続した小滝を抜けるとザレ場に入る。45度〜60度の傾斜をフロントポイントで上がる。一度で打ち込むのがコツ。打ち込みを2度3度繰り返すとザレ面が耕されてしまい足場がなくなってしまう。最初はロープを掛けて安全策をとるが慣れてくるとロープフリーでトレーニングする。
花崗岩の風化したザレ場は絶好のトレーニングゲレンデであるため、多くのクライマーが雪山のトレーニングにやってくる。こんな練習を2度3度重ね、ゲートロックと呼ばれる斜度60度〜70度、高さ25mのクライミングゲレンデで岩場の登下降を繰り返す。ピッケルによる登攀はもとより、クライムダウン、ロアーダウン、ラッペルなどここでは春山の雪稜、岩稜通過に必要な技術を身に付ける。高度感になれるのもその一つである。
そうして各自トレーニングを重ねて当日を迎えた。
立山は快晴。絶好の登山日和だった。雪面もグズっているため、アイゼンは無くても大丈夫なくらいであり、一の越までのショートコースの人たちも雄山まで行ってもらうことにした。

雄山登頂を実現された方も一の越で引き換えした方も楽しんでいただけたのでしょうか。
 『立山に登った感想』 メンバーの感想一覧にリンクします。 
 『春山登山・立山雄山を行く』 姫の紀行文にリンクします。