かみなりの種類 | |||
熱 雷 | |||
急激な上昇気流により低層から高空まで形成された雷雲は主に積乱雲などで構成され、熱雷と呼ぶ。 夏季によく発生する為、俗に夏雷とも呼ばれる。局地的かつ散発的(ばらばら)に発生し、持続時間は短い傾向がある。 |
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界 雷 | |||
積乱雲でも寒冷前線上などに発生する場合、また、温暖前線などで同様の原理が発生した場合の雷は界雷と呼ぶ。帯状にまとまって発生し、セルの世代交代があって前線の移動に付随して落雷域が移動することが多い。 | |||
熱界雷 | |||
前線に向かって湿った空気が流れ込むことによって形成された雷雲による雷など、熱雷と界雷の両方の特性を併せ持つものを熱界雷と呼ぶ。夏季において激しい雷雨を伴うことが多く、たびたび地上において被害を引き起こす雷。局地的にまとまって発生し、時に100kmを超える巨大な積乱雲群を構成して落雷域が広範囲に及ぶ。 | |||
渦 雷 | |||
上昇気流が発達した低気圧や台風などにより形成された雷雲による雷の場合を渦雷(からい、うずらい)と呼ぶ。性質としては熱雷や界雷に近い。勢力が強いものや移動速度が速いものは雷雲の移動速度が速いことから、防災上注意を要する。 | |||
放 電 | |||
雲内での放電を雲内放電 (inter cloud lightning : IC)、雲と雲の間の放電を雲間放電 (cloud to cloud lightning : CC) と呼ぶ。雷雲から地面への放電を対地雷 (cloud to ground lightning : CG) と呼ぶ。対地雷には上向きと下向き、正極性 (+CG) と負極性 (-CG) の分類があるから対地雷は結局4種類ある。 | |||
幕 電 | |||
夜間、遠方で発生した雷による稲妻が雲に反射する現象および、雲内放電により雷雲自体が光って見える現象を幕電と呼ぶ。雷雲から15km以上離れている場合など、稲妻のみで雷鳴が確認できない時を指すことが多い。 幕電は上空が晴れていても確認できることがあり、強い閃光のわりに雷鳴が聞こえないなどといったことから、しばしば宏観異常現象ではないかとされることがある。 |
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超高層雷放電 | |||
近年(1980年代 - )では大規模落雷に伴って発生するスプライト等の雷雲上空高度20 - 100kmの成層圏・中間圏・下部熱圏において起こる放電による発光現象も発見されている。 | |||
カミナリ発生する状況 | |
山で遭遇したくないもののひとつに雷がある。しかし、山は地形的に雷が発生しやすく、夏の午後ともなれば連日のように雷が起こることもめずらしくない。雷は大気の成層が不安定になっているときに発生する。大気の成層が不安定になっている状態とは、水蒸気を含んだ比較的高温の空気が低層に、乾いた低温の空気が上層にあることをいう。この条件が整ったときに、強い上昇気流が起こりて雷雲が発生する。山で夏の午後によく雷が起こるのは、日射によって熱せられた地上の暖かい空気が上昇気流となる際に、山の斜面がそれを促進させる役割を果たし、雷雲を発生させやすくするためである。 |
雷雲のなかでは、上昇気流によって吹き上げられる細かな雲粒と、重力によって落下する降水粒子(主としてアラレ粒子)との相互作用が働き、プラスとマイナスの電気が生じる。電気が雷雲のなかで一定量以上になると、空気の絶縁が破れて(絶縁破壊)火花放電が起こる。この自然が起こす超大型の火花放電が雷の正体である。 雷放電は雷光と雷鳴を伴い、ときに長さ20`にも達する大型火花放電となる。また、雷放電の間隔は10秒に1回(短いときは3秒に1回。長いときは60秒に1回)で、そのうち30秒に1回は落雷となる。ひとつの雷雲の寿命は発達期、成熟期、消滅期の各々約15分、合計45分程度だ。しかし、いったん雷雲が発生すると次々に新しい雷雲が発生し、長 |
時間雷が続くこともある。 基本的に、雷は雷雲の位置しだいでどこにでも落ちる。山では過去に大きな落雷事故がいくつも起こっている。 たとえば1967年8月1日の西穂高岳での松本深志高校パーティの事故は、11人が死亡、13人が重軽傷を負うという大惨事となった。また1969年7月26日には、浅間山で登山者が落雷を受け、1人が死亡、5人が重軽傷を負っている。 このほか槍ガ岳や白馬岳、富士山、秋田駒ガ岳、奥多摩の高岩山などでも落雷事故が発生。1992年11月1日、丹沢の大山でハイカーが雨宿りをしていたあずまやに雷が落ち、1人の死者と10人の重軽傷者を出した事故もある。 山頂や樹木や岩など、山には落雷を受けやすいものが多いうえ、避難場所も極めて少ない。それだけに登山者は雷に対して細心の注意を払わなければならない。 |
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山で雷に遭遇することは恐ろしい。雷発生のメカニズムを知り、落雷被害を避けるには、どういう行動をとればいいのか。 |
Q | 山頂や稜線でゴロゴロ聞こえてきたら? | |
A | 雷は狙いすましたように高いところをめがけて落ちてくる。そういう意味で山頂や稜線は最も危険な場所であり、一刻も早く離れる必要がある。 比較的安全なのは谷筋や窪地、山の中腹など。そこまで逃げ込むことができたら、姿勢を低くして雷が去るのをじっと待とう。高山帯では、尾根を外れて斜面の窪んだところで姿勢を低くする。 なお、岩場では雷が落ちても電流が地中に染み込んでいかず、放電(沿面放電)となって岩伝いに電流が走ることがある。前述の松本深志高校パーティの事故で大勢の死傷者が出たのは、この沿面放電にやられたためだ。それと同時に、落雷のショックで転落して死亡するというケースも報告されている。クラックなど含有水分の多いところを沿面放電は走りやすいので、とにかく岩場からは速やかに退避することだ。 |
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Q | 広い平原や湿原ではどこに逃げる? |
雷にはなるべく電気が通りやすいところを通ろうとする性質があり、人体組織は導体(電気をよく通す物体)である生理食塩水から成っている。つまり人体そのものが雷を引きつけやすい性質をもっているので、直立している人体というのは避雷針が立っているようなものなのである。周囲になにもない平原や湿原で雷に遭遇するのがいかに危険なことか、おわかりいただけると思う。 このような状況下では、とにかくその場で姿勢を低くし、落雷の合間を見て少しでも安全なところに移動することだ。もし近〈に高い木があるなら、後述する保護範囲内に逃げ込み、窪地があればそこで姿勢を低く保って雷をやり過ごそう。 |
Q | 高い木の下に逃げ込めばもう安心? | |
A | 背丈の高い物体には雷を引き寄せる性質があり、雷は高い物体をめがけて落ちる。ならば高い木のそばにいれば富の直撃を受けなくてすみ、安全なように思える。 しかし、たとえ高い木の下に逃げ込んでも決して安全とはいえない。木のすぐそばに人が立っている場合、雷が立木に落ちると、木から人体への二次放電(側撃)が起こり、落雷の主電流が人体に流れ込んで直撃と同様のダメージを与えることがあるからだ(これを側撃事故という)。 最初に落雷した木から人体への側撃が起こるのは、木よりも人体のほうが電流が流れやすいためである。 側撃から身を守るためには、木の幹から2m以上離れ、木の頂点を45度以上の角度で見上げる範囲内で姿勢を低く保つことだ。その際には木の幹からだけではなく、どの技先、どの菓先からも必ず2m以上の距離をとらなければならない。こうして |
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いれば、側撃ばかりか直撃の危険度もグンと低くなる。立木がつくりだすこの比較的安全なエリアを保護範囲と呼ぶが、保護範囲は他の高い物体によってもつ〈られる。たとえば山中に鉄塔があるとすると、その真下から高さを半径とする円内に落ちるはずの雷は、鉄塔に引き寄せられてその項点に落ちる。つまり、この円内にいれば雷の直撃を免れられるというわけだ(高さが30m以上の物体の場合、保護範囲は物体の真下から半径30m以内となる)。 また、送電線や配電線の近くでは、その高さの2倍幅の帯状域内にいれば落雷の直撃を受けずにすむ。通常、鉄塔や送電線には接地線などの防雷対策がとられているので、真下にいても側撃の心配はない。ただし保護範囲の安全性は100%ではないし、高さ4m以下の物体には保護範囲が生じない。 |
Q | 樹林帯のなかならば安全? 答えはノーです。 | |
A | 高い物体によって保護範囲がつくられるのなら、無数の木がある樹林帯にいれぼ安全なのだろうか。樹林帯ではどの木に雷が落ちても不思議ではなく、自分のすぐそばの木に落雷しないともかぎらない。しかも周囲は木ばかりなので、すへての木の幹、技、菓先から2mの距離をお〈というのはまず不可能である。つまり樹林帯のなかでは側撃の可能性が充分にあるということだ。 もし樹林常のなかで雷に遭ったら、その外に出て、より安全な場所に避難したほうがいい。もし近くに安全な場所がないのなら、やはり姿勢を低く保って富がおさまるのをじつと待つしかない。 |
Q | 小屋やテントのなかにいれば大丈夫? |
A | 雷からの避難場所としていちばん安全なのが山小屋。山で雷に遭ったら、まずいちばん近い山小屋に逃げ込むことを考えよう。ただし、雷が小屋の近くに落ちると、雷の異常電圧が電気配線を伝わって建物内に侵入し、中にいる人に放電して死傷事故を起こすこともあるので要注意。電気器具や電気配線、電話横、コンセント、部屋の天井や璧などから1m以上離れていれば大丈夫だ。 なお、避雷針などの防雷対策がとられていない休憩所やあずまやは、丹沢大山の事故からも明らかなように、決して安全ではない。 ただちに離れて安全な場所に移ろう。昔「雷が鳴ったら蚊帳の中に入れ」というのは部屋の中心にいられるわけだから理にかなっている。 いっぼう、テントはポールに落雷する危険がかなり高く、側撃事故が起こりやすい。雷鳴が聞こえてきたら外に飛び出し、テントのポールを倒して本体を地面に横たえ、即座に安全な場所に避難すること。なお、前述した高い物体の保護範囲内にテントを張れば、落雷の危険を低滅させることができる。 |
Q | 身につけている金属は外すべき? | ||
A | 結論からいえば、たとえ金属を身体から遠ざけても少しも安全ではない。 身につけた金属よりも人体そのもののほうがよほど落雷を引きつけやすい。金属を身につけているいないに関わらず、雷は人間の身体をめがけて落ちてくる。 身につけた金属は、落雷を呼ぶどころか、場合によっては命を救うことさえある。ぶつう、雷が人体に落ちると体内に電流が流れて人を死に至らしめるのだが、身につけた金属が致命的な体内電流を体外に引っぱり出す役目を果たしてくれることもある。 |
Q | ストックを持っていると落ちやすい? | |
A | 前項で説明したとおり、金属製のストックを手に持っていても、落雷を受ける確率が高くなるわけではない。 ただし、雷は、より高いものに落ちようとするので、ストックを頭上高く振り上げたりするのは自殺行為に等しい。ストックは絶対に自分の体よりも高く突き出してはならないし、ザックに装着したままにしておくのも危険だ。低い位置で手にしているぶんには問題ないが、なにかの拍子に高く振り上げてしまいそうならば、地面に置いたほうが無難だろう。 | |
Q | かたまって避難するのは危険か? | |
A | 基本的に雷は「一雷一殺」であり、死に至るか重傷を負うのは直撃を受けたひとりに限られる。 ただし、落雷によっては放電が空中で技分かれして、同時に複数の落雷点を生じるものがある。この多点落雷が起こる割合は落雷の約10%で、落雷点に何人かの人がいる場合には、複数の死者や重傷者が出ることになる。 そこで、団体登山など大人数で行動している場合、雷のなかを避難するにはできるだけ間隔を開けること。可能ならば5m以上 |
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の間隔をとって避難したいものだ。雪に遭わないために夏山では午後に雷が起こることが多いので、午後の早いうちに行動を終えるようなプランを立てよう。それと同時に気象情報をよくチェックし、気象庁が出す雷注意報に充分な注意を払うこと。かすかに雷鳴が開こえる、携者ラジオに激しい雑音が入る、アラレがバラバラと降ってくるなど雷の兆候があるときは、ただちに行動を打ち切って最寄りの山小屋に避難するか、少しでも安全な場所に移動しよう。不幸にも雷に遭遇してしまった場合は、落雷と落雷の合間を見計って、速やかに安全な場所に移動すること。 |
姿勢は低ければ低いほどいいが、しゃがんでいて雷が落ちた例はいくらでもあり、万全とはいえない。背負ったザックの上部が頭よりも上に出てしまうのは危険なので、そんなときはザックを抱えて避難しよう。また、たとえ雨でも傘は絶対にさしてはならない。 |
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