登山中、もしくは3時間以上運動し続ける時は、塩分の補給を忘れないように注意すること。 人間の体重の60%が水分ですが、それは塩分を含んだ水なのです。 このうち1/3が血液や胃液などの細胞外体液で、塩分は、その中に0.9%の割合で溶けこんでいます。 60sの体重の人の1/3=20s…血液・胃液など 20s×0,009=180g……………塩分 塩は水分の量を調整し、細胞と体液の間の圧力のつりあいの調節をします。 また、筋肉の収縮を助け、血液や胃液の成分となって働くなど、人間が生きていくのに欠かせない働きをしているのです。 筋肉などの細胞の中にある水分と、血液などの体液とでは塩分の性質が少し違うのですが、いずれにせよ塩分は、人体の生理機能に重要な働きを持っているので、体の塩分濃度は一定に保たれています。しかし汗を大量にかいて、水分とともにナトリウムやカリウムなどの塩分も、汗として失われてしまっているのに、水分補給として真水やお茶など、塩分を含まない飲料水を摂取すると、血液の塩分が薄まってしまいます。 塩分のバランスを保つために、血液から水が細胞の方へ移動したり、発汗が促進したりして、血液からどんどん水が失われていきます。 結果として、水を飲んでいるにも関わらず脱水になってしまうのです。 こうなると、運動に必要な血液循環量が確保できなくなったり、塩分の不足による筋肉の痙攣が起ったりします。呼吸筋の痙攣が起こる事もあり、大変苦しくなります。この種の脱水は、適正な塩分補給をする事によって防ぐことができるのです。 |
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体重の60%が水分 | |||||||||||
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日本体育協会は、長時間に及ぶ暑熱下の運動では、1時間当たり500〜1000mlの給水をし、0.2%の食塩を含むもので摂取する事を勧めている。 市販のスポーツドリンクは塩分や糖分が若干高めのため、それを2倍程度に希釈して飲む。 または500mlのボトル1本の水に対して小さめの梅干し1個を食べると同程度です。 麦茶と梅干の組み合わせもお勧めです。麦茶0.5〜1リットルに対し、梅干1個で大体0.1〜0.2%程度の塩分量になります。 |
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スポーツドリンクを倍に希釈する | 水500ccに対し梅干1個摂る | お茶500ccに対し梅干1個摂る | 水500ccに対し塩0.2gほど摂る |
人間は普通に生活しても、呼吸や排尿,発汗によって1日に2リットル以上もの水分を失っています。 夏場の暑いときにはこれに加えて、汗によっても水分が失われます。 多いときには1時間に1リットルに及ぶこともあります。つまり、夏場はこまめな水分と塩分の補給は欠かせないということです。「お茶」や「水」だけでは「熱けいれん」を起こすこともあります。 注意が必要なのは、お茶や水などを飲んでいても、塩分を取らなければ「熱けいれん」や「熱射病」を起こすことがあるという点です。「熱射病」は「熱中症」の中でももっとも深刻な場合です。 |
多いときは | |
一日に2gの排出 | 1時間に1g排出 |
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塩豆 | 塩せんべい | ピスタチオ | 塩飴 |
アーモンド | イカリ豆 | ドライなつめ | ドライマンゴー |
漬物 | 佃煮 | たくあん | 塩昆布 |
行動食や昼食に上手に摂り入れて塩分を補ってください。 | |||
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この「熱けいれん」や「熱射病」を防ぐための塩分摂取の目安となる量は、水分の0.1〜0.2%程度といわれていますが、いわゆるスポーツドリンクを利用するのがもっとも手軽な方法です。 通常、人間の体は体温が約37℃以上になると、脳にある体温調節の中枢から皮膚へと、体温を下げるよう指令を出します。この仕組みには、 ●汗をかいて体の表面の温度を下げる。 ●血管を拡張し血行をよくして、血液から体外に熱を出す。 などがあります。しかし、激しい運動などによって、体内で多量の熱が発生している場合には、うまく体温を下げることができず、体内に“熱”がこもってしまうことがあるのです。 つまり、室内で激しい運動をしたような場合でも、熱中症は起こりうるということになります。 |
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暑い時期、熱中症の危険が高まります。 熱中症は重症になると生命の危険にもつながります。安全に、楽しく登山ができるよう注意をお願いします。 熱中症はどのようにして予防すればよいのでしょう?水分と塩分の補給によって回避できます。 すべての熱中症は、汗で失われてしまった水分と塩分の不足によって起こります。 |
病 種 | 熱疲労 | ||||
原 因 | 水分不足による脱水 | ||||
症 状 | 血管拡張に伴う血圧低下→脳への血流の不足 頭痛、めまい、吐き気、脱力感 |
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補 足 | 顔色が青ざめる・脈拍が速くなる | ||||
対処方法 | 涼しい場所に運んで衣服をゆるめ、水分や塩分を補給する |
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病 種 | 熱痙攣(けいれん) | |||
原 因 | 血液中の塩分濃度の低下 | |||
症 状 | ふくらはぎや腕、腹筋に痛みを伴う強い痙攣 | |||
補 足 | 汗をかいた時、水分のみを補給し、塩分を補給しない場合に起こりやすい。 | |||
対処方法 | 涼しい場所に運んで衣服をゆるめ、水分や塩分を補給する |
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病 種 | 熱射病 | |||
原 因 | 水分不足と血中塩分濃度の低下 | |||
症 状 | 体温調節中枢の麻痺 | |||
補 足 | 汗をかくことができず、暑くとも皮膚が乾燥 | |||
対処方法 | 外部から刺激に対する反応鈍化 |
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意識障害 | 意識障害がみられる場合、すぐに救急車を手配し、病院へ搬送。医師の診察・処置を受ける。 | ||
救急車が来るまでの処置 ・濡れタオルをあてる。 ・水をかける。 ・氷を当てる ・できるだけ体温を下げる! |
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