安全登山楽講 | ||||
ブラックダイアモンド・キャメロットC4 取扱説明書------------------- | ||||
この文面は、ブラックダイヤモンド・キャメロットC4のカタログを掲載したものです。 原文のまま掲載しておりますが、イラストは分割して掲載しております。 |
岩場や沢筋での滝身の登攀など、かつてはハーケンを打ち込んで危険を軽減するために安全策を講じて登った。最近では自然に対するローインパクトやセッティングの楽さからカムやナッツが使われるようになってきた。ある岳人は「そんなものが要るような危険なところには行かないほうがいい」とおっしゃる方もあますが、より安全を追求するためには積極的に使うべきだと思います。主にはランニングビレイに使いますが、クラックさえあれば自己ビレイにも使えます。使うクライマー次第で用途はさらに拡がるのではないでしょうか。 |
本製品をご使用になるに必ずこの取扱説明書をお読みください。※本文中の「イラスト」の文言は、英語開設文中のイラストに対応しています。 |
キャメロットはどうやってクラックに効くのか? | ||||
キャメロットはカムそのものの動きと形状によつてクラックに効かせることができます。SLCD(スプリング・ローディツド・カミング・ディバイス=スプリングの力によってカムの角度を変えることにより、広い調整幅を持つプロテクションの総称)のカムは、イラスト1のようにカムの回転角度に関わらず、カム軸から引いた水平線とカム軸から岩への接点へ引いた線との作る角度(カムアングル、イラスト1a)が一定に保たれるのが特徴で、コンスタントアングルカムと呼ばれています。カムが完全に開いた状感でも閉じた状態でもカムアングルは一定です。カムアングルが一定でないと、カムの回転角度こよって支持性能が変化してしまいます。カムデザインを決定するにあたつて、カムアングルが常に一定に保たれる対数螺旋が用いられています。 墜落してキヤメロットに加重されると、カムは荷重方向と逆方向に回ろうとします(イラスト2-a)。キャメロットが外れないためにはそれに見合うだけの力(イラスト2-b)が必要です。加重によりキヤメロットに下方向の力(イラスト2-c)が働くとカムには開く力が働き、岩へ押さえつけられ(イラスト2-d)、岩との摩擦が増大し、これがキャメロットの支持力となります。 |
注 意 | |||
● | キャメロットは頑丈ですが壊れることもあります。性能を十分に発揮させるために良いコンディションに保ち、正しいセッティングをして下さい。 | ||
● | 全てのSLCDにおいて、荷重時にクラックを押し広げようとする大きな力がカムに発生します。このためセット時にはしっかりしているように見えた フレークやブロックでも、壊してしまうおそれがあります。キャメロットは信頼できる硬い岩にセットして下さい | ||
● | キャメロットを使用する前に取扱説明書を熟読し、使い方を十分に習得して下さい。クラッククライミングに熟練していない方は、山岳ガイドや経験者の指導を受けられることをおすすめします。 | ||
キャメロットのセット方法 | |||
● | 的確なサイズ選び、正しいセッティング、カムの角度が適切なこと、ステムが予想荷重方向を向いていること、岩が硬いこと等が、キャメロットの支持力を左右する要素です。 | ||
● | 全てのカムが50%〜90%閉じた状態で岩に接し、ステムが予想荷重方向を向いている状態が理想的です。またBD独自のツインアクスル(2軸)構造により、カムが完全に開いた状態でもナッツのようにボトミングしてセットすることができます(イラスト3)。 | ||
● | セッティングの練習は登りながらではなく、地面に立って届く範囲で行って下さい。 |
クラックにセットする前に次の項目をチェックしてください。 | |
■ | 岩の見た目は硬そうですか?空洞こなっている岩、柔らかい岩、脆ない岩は避けて下さい。また、岩質が硬くてもエキスバンディングフレーク(加重すると開いてしまうフレーク)は大変危険ですので避けて下さい。 |
■ | 岩に適度なざらつきがありますか?キャメロットはカムと岩との間に生じるフリクションによって支持力を発揮します。このため岩が磨かれていたり、滑らかだったり、凍ったり、濡れたりしていると、カムがスリツプしてしまいます。またクラック内部こ浮いた小石や粒子にセットすると、カムがオフセットしたり、加重した時に粒子が欠けてしまうおそれがあります。 |
■ | クラックの幅に合ったサイズのキャメロットを選んで下さい。 適度に閉じたキャメロット(イラスト4)は、開ききったキャメロット(イラスト13)よりはるかに高い支持力が有ります。 ギアラックからキャメロットをはずし、トリガーバーを引いて下さい。 |
■ | カムを先にして、ステムを予想荷重方向に向けながらクラックに入れて下さい(イラスト5)。 |
■ | トリガーバーから指を離し、カムを作動させて下さい。支持力を十分に発揮させるためには、4つ全てのカムが岩に接していなければいけません。 |
■ | キャメロットを予想荷重方向に軽く引いて下さい。セット後に動いたり、回転しないことが重要です。ローフの流れによってセットした位置から動いてしまいそうな時は、長いランナーを使って下さい。 ロープを通すカラビナはスリング末端か本体のワイヤーループにクリップして下さい(イラスト6、7)。 |
※ワイヤーループに直接カラビナを掛ナてロープを通した場合、ユニット全体の強度が2kN以上低下します。 | |
■ | イラスト8、9のようなロープの通し方は絶対にしないで下さい。 |
■ | ピッチ全体を通してどのようにプロテクションをセットするかイメージできるように経験を積んで下さい。また、墜落を止めるのに1個のプロテクションだけに頼ることは絶対にしないで下さい。 |
■ | 外側こ広がっているフレアクラックに効かせるのはどのようなギアを使っても困難です。キャメロットはフレアクラックにも比較的有効ですが、フレアの度合いが大きいほど支持力は低下 します。 |
■ | キャメロットはフレキシブルステムを採用しているため、エッジをまたいだ状態でも加重することはできますが、そのような場合ステムの強度を損なうおそれがあります。できるだけステムを湾曲させずに荷重して下さい。エッジをまたいだ状態で加重した場合は、使用後ステムにねじれがないか点検して下さい。 |
■ | プラスチック製外被の表面が切れたり裂けたりしているだけなら使用可能ですが、ケーブルが露出していたら内部でほつれている可能性があります。 |
■ | 八一ドな墜落によってワイヤーループが傷んだり、変形することが有ります。使用後にケーブルがほつれていないか点検し、傷みが慈しいときは使用を止めて破棄して下さい。 |
■ | トリガーバーを完全に引ききってセットすると同収が困難になります。引き代には少し余裕を持たせてセットして下さい。 |
注 意 | |||
キャメロットはプロテクションシステムを構成する一部分こ過ぎません。そのルートにどのようなギアを揃えればよいかは判断が難しいところです。ギアの選択に自信が無いときは、適切なガイドブックをお読みになることを勧めします。 | |||
危険なセツティング | |||
● | クラックの縁にセットしないで下さい(イラスト10)。クラック の外にカムが弾き出され、墜落を止められない場合があります。 | ||
● | カムがオフセットした状態でセットしないで下さい。イラスト11では前2枚のカムの閉じ具合は適切ですが、後ろ2枚のカムは開き過ぎており、この状態では墜落を止めることはできません。イラスト12では左側のカムが開き過ぎており、この場合も墜落 を止めることはできません。 | ||
● | イラスト13のように全てのカムが完全に開いた状態でもキャメロットは支持力がありますが、この場合はきちんとボトミングしていないので簡単に外れてしまいます。 | ||
危 険 | ||||
イラスト14のように奥が閉じた浅いクラックでは、ステムを予想荷重方向に向けることができず、十分な支持力が得られないため墜落を止めることができません。 | ||||
強度表示 | ||||
クライミングギアには破断強度が表示されています。破断強度はその強度に達したら壊れてしまうことを意味し、その強度までなら耐えられるということではありません。ブラックダイヤモンドでは破断破断を算出するに当たつて厳密な製品試験を実施し、3シグマ法と呼ばれる精度の高い統計基準を採用しています。キャメロット各サイズの強度、重量、サイズレンジについては英語解説文中のチャートをご覧下さい。 | ||||
定期点検 | ||||
使用前後にトリガーの引きがスムースであること、カムがスムースに開閉すること、ひとつひとつのカムが独立して作動することを点検して下さい。 |
手入れと保管 | ||
キャメロットには適切な手入れが必要です。 適切に保管し、定期的に点検することで、キャメロットを長持ちさせることができます。 |
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・ | 清潔で感想した、直射日光の当たらない場所に保管して下さい。 | |
・ | 熱源の近くに保管しないで下さい。 | |
・ | バッテリー液や溶剤などの腐食物質に触れないようにして下さい。 | |
・ | キャメロットの動きが渋くなったり、可動部分に泥や埃が噛んでしまった間合い、ぬるま湯で洗い流し、完全に乾燥させて下さい。乾燥後は潤滑剤を塗布し、はみ出した分をきれいに拭き取って下さい。 | |
・ | 海水や潮風にさらされた場合、上の項と同じ手順で洗い流し、乾燥させてから潤滑剤を塗布して下さい。 | |
・ | カム軸がさびないようにこまめに潤滑剤を塗布して下さい。 | |
寿 命 | ||
下記のような症状が見られる場合は使用を止めて破棄して下さい。 |
・ | 墜落によつてカムが大きななダメージを受けている場合。 | |||
・ | カムが曲がったり欠けたり、変形している場合。 | |||
・ | カムの歯が擦り切れている場合。 | |||
・ | ワイヤーループが擦り切れたり、捻れたり、ダメージを受けている場合。 | |||
・ | スプリングが弱ったりダメージを受けている場合。 | |||
・ | ソウンスリングがひどくケバだったり、擦切れたり、溶けたり、裂けたり、紫外線に長時間晒されたりした場合、ソウンスリングを交換して下さい。スリンク交換についてはお買い求めいただいたショップか輸入代理店にご相談下さい。 | |||
・ | トリガーケーブルが傷んだ時は、ショップに修理を依頼されるか、別売のトリガーワイヤー交換キットをご利用下さい。 | |||
・ | キャメロットにいかなる改造も加えないで下さい。 | |||
・ | クライミングギアの信頼牲に疑問を感じている時の答えは簡単です。そのギアは正常ではありません。いかなるクライミングギアもいつかは壊 れます。傷みが見られたり、壊れたり、信頼性に疑問があるときは再利用を防くために処分して下さい。 | |||
中古品について | ||||
中古品を譲り受けたり購入したりしないで下さい。また岩場で拾ったギアを使わないでください。製品を安全に使うためには使用履歴を把握している必要があります。どのような使われ方をしたのか履歴のわからない中古品を信頼することはできません。 | ||||
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EN12276 ブラックダイヤモンド・キャメロットはEN12276規格に適合し、下記機関によって試験、認証されています。 CETE APAVA SUDEUROPE BP193.13322.Marseille Cedex16,France 認証番号は0082です。 マーキック キャメロットに刻印されているマーキングには下記のような意味があります。 BLACK DIAMOND:製造者名 製造年月日:例えば3096といった数字が印字されているば合、この製品は2003年の96日目に製造されたことを表します。メーカーが製品の製造/試験記録を追跡し、持定の製品と比鞍するために必要なものです。 製品名とサイズ:「CamalotJ」「.75」のように、製品名とサイズが表示されています。 CE0639:製品が「個人防護具に関する指令」(89/686/EEC)の第11B条項を満たしていること、lSO9001の認証を受けていることを表します。認証機関はAFAQ−ASCERTlnternationa (QUAl/998/10072) 116 Avenue Aristide Briand.B.P.83,F92225 Bagneux,Cedex.France 該当するCEN製品試験に合格していることも表しています。 破断強度:例えば14kNと表示されている場合、破断強度が14kNであることを表しています。 パテントナンバー463377:キャメロットのデュアルアクスル機構は、アメリカ合衆国のパテントを取得しています。 |
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3年間保証 ご購入いただいてから3年間、第一購入者に限りり、品質もしくは製造上の欠陥が見つかつた場合無償交換いたします。欠陥が見つかった場合、ご購入店にお持ち込みいただくか、輸入代理店に直接お送り下さい。製品を無償にて新品交換いたします。無償交換をこの保証における責務の上限とし、保証期間の満了とともに、その責務も終了するものとします。 |
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保証の対象外 以下のケースは3年間保証の対象外となります。 ・通常の磨耗 ・メーカーが認めている以外の部品を交換したり、製品に改造を加えたことによる損傷。 ・間違った使い方や手入れによる損傷。 ・事故、不注意、目的外の使い方をしたことによって生じた損傷。 |
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警告 以下の警告を守らなかった場合、死亡や重症を負う可能性があります。 本製品はロッククライミングと登山以外には使用できません。 ロッククライミングと登山は危険を伴う行為で、その行為中の行動と決断は本人責任によるものです。本製品を使 用されるすべての方は本製品の性能と限界を熟知し、正しく使用するために適切な指導者から技術を学んでください。 本製品を破棄する場合は再利用されないように処分して下さい。 |
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