2010.04.24 JR福知山線(宝塚線)脱線事故から5年
JR福知山線(宝塚線)脱線事故から、もう5年経っていた。
2005年4月25日 午前9時19分頃に西日本旅客鉄道(JR西日本)の福知山線(JR宝塚線)塚口駅 - 尼崎駅間で発生し、運転士と乗客を合わせて107名の死者を出した列車脱線事故である。
「『空色の会』JR福知山線事故・負傷者と家族などの会」が主催した、メモリアルウオークに参加してきました。
JR福知山線は現在の生活環境において一番よく利用している路線で、登山や岩登りで海老江駅から宝塚駅、生瀬駅、道場駅はよく利用しているし、二男とその家族が生活を営んでいる西宮名塩に行くのもこの路線です。その度にこの事故現場を通り、いつも重苦しいものを感じていました。
今年の3月22日に古市駅を利用して『白髪岳』に登山したとき、八尾から参加した杉さんに「JRの事故現場ってどこ?子供の頃には田舎から出てくるのによく乗ったんだけど、福知山線は事故以来はじめて乗ったから」そう聞かれて…。その時すでに現場を過ぎていたため案内することは出来ませんでしたが、誰の心にも、まだ残っているのだなあと感じた次第でした。
そんな時、サンケイ新聞の夕刊記事で知ったメモリアルウオーク。主催者とメールでやりとりをして10名の枠をいただきました。
そして登山仲間であるやまたび倶楽部に発信
「みなさん4月24日って空いてますか〜?。JR福知山線事故のメモリアルウオークに行きませんか」そんな呼びかけをし、7名の仲間と4月24日の土曜日メモリアルウオークに参加しました。
JR塚口駅で、やまたびメンバーと合流し、上坂部西公園芝生広場へと移動。
上坂部西公園芝生広場に着いて驚いたことは、参加者と同じぐらいの報道記者や報道カメラマンが待ち受けており写真撮影やインタビューを受けることとなりました。
JR福知山線列車事故から5年を迎え、最近では毎日の様に、遺族の方々や今もなお後遺症に苦しむ方達の苦悩の日々を報道し続けています。今回のウオークの目的は、被害者の真の回復と事故の風化防止を願いつつ、安全で安心な社会作りへの思いを新たにするメモリアルウオークと言うことで、事故のあった路線に沿って、みんなで歩き、たどり着けなかった多くの思いを届けようと言う趣旨から、ぜひ参加をしたいと思った次第です。仲間への呼びかけもさることながら、定員百名に到達するまえに参加枠を確保したいと思い、申し込みをすることとなりました。最初の15名には到底及びませんでしたが、趣旨を理解してくださり、協力をいただけた仲間達と歩いてまいりました。主催者は「空色の会JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」、後援は「思いをつなぐ連絡会2010」です。
コースとしては、上坂部西公園芝生広場から出発し産業道路を南下、主催者が用意してくれた献花を事故現場で手向け、「命」の菜花畑を経てJR尼崎駅までの4q、2時間のコースです。今年も現場近くの菜の花畑に花で描かれた「命」の文字が浮かび上がり、風に揺れる黄色い菜の花は、付近を通りかかる人々に失われた命の尊さを訴えかけていたそうです。残念ながら菜の花は咲き終わり、
その代わりにブロッコリーでくっきり「命」の字を読みとることができました。初めて現場に行きましたが、重々しい空気が漂い、聖地の様な、遺族や負傷者の皆様にとっては、あの悲惨な事故の悲しい現場として忘れることはないでしょう。
 この菜の花畑は、近くの74歳の農業を営む男性が、事故が起きた5年前の4月25日、現場での救助活動を目撃。「遺族や負傷者の方々を元気づけたい」と一昨年5月、所有する畑に菜の花で文字を描こうと思いついたそうです。今日はお茶の接待をしていただき、お人柄を想像することができました。
ここでの献花・焼香は忘れられない1ページになりました。
平成17年4月25日に起きたJR福知山線脱線事故から5年を迎えるのを前に20日には、事故で両脚に重傷を負った近畿大学生とその仲間らが、事故から経過した日数と同じ1762本のキャンドルを兵庫県伊丹市中央の三軒寺前広場で灯し追悼イベントを実施したとのことでした。 
私達は福知山線を利用時、事故のあったマンションあたりで車両が減速して通過する度に心の中で手を合わせてご冥福を祈っていました。防ぎようのない、持って行き先のない怒りにも似た心境と、ひょっとして私が、仲間が乗り合わせていたかも知れないという不安もあります。事故現場で花を手向け、亡くなった人々の痛かったであろう、苦しかったであろうの声を忘れることのないようにしたいと思います。
JRの歴代トップが起訴されていましたが今までの体制から脱し(運転手と車掌は面識もなく乗車前の打ち合わせもないらしい)安全な運行をしてもらいたいと思わずにはいられません。事故当時は「先頭車両は危ない」ということで後部車両を選んで乗車していましたが5年も経つと、そんな事は忘れて空席を求めて先頭車両に乗ることも日常となっています。
事故から5年。JRの職員さんもちょっと忘れかけてはいませんか。列車を利用するたびにそう思ってしまう今日この頃です。
(やまたび倶楽部メンバー・参加者の感想) 
●オリオンさん
神妙な気持ちでお参りさせていただきました。日々通勤に川西池田駅〜尼崎駅間を利用しています。通るたびに一度は訪れたいと思っていました。今回訪れることが出来て少し心が和らいだ思いがしています。

●淳ちゃん
初めて現場を見て、心打たれました。此処に来るまでに5年もかかってしまいました。でも心から手を合わすことができてよかったです。

●よし枝ちゃん
現場を訪れて、あらためて凄い事故だったんだと思いました。このウオークにはどうしても参加したく、他の用事をやめて此処に来ました。来て本当に良かったです。

●くろねこさん
追悼ができてよかったです。事故後100回以上は乗っているこの路線、この眼に事故現場を焼け付けたいと思いながら今日まで経ってしまいました。でもこのウオークが無かったら訪れることが出来なかったかもしれません。主催者とスタッフの方たちに感謝申し上げます。

●ポチさん
現場に足を運んでみて、今も絶えない献花の山に心打たれました。事故犠牲者の中にもし家族が巻き込まれていたら、友人が巻き込まれていたら、親戚縁者が巻き込まれていたら…、悪寒が走る思いでした。

●ジョンさん
何故あんな事故が起きたのか。どうして防ぐことが出来なかったのか。そう言いながらもまた起こってしまう事故。鉄道事故に限らず山岳遭難事故然りです。現在を生きる全ての人が少しずつ注意をし他人を思いやることで事故は未然に防げるような気がします。今日のウオークに参加して献花させていただき、JR福知山線(宝塚線)脱線事故はよその話しではなくなりました。

●姫
みなさんに協力して頂き、今日を迎えられたことがうれしいです。ゴール地点で見つけた四つ葉のクローバー、ちょっとオイボレていたけど,
今日一緒にウオークしていただいた皆さんに、幸せを運んでくれそうな気がしています。
主催者とスタッフの方たちに感謝申し上げます。来年もあれば行きたいです。

 筆者:姫

文:久田美智子(姫) 写真:鹿島秀元

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