バス旅行時の集合場所にいつも1分前集合の正ちゃんが何と15分前に車で現れました。時計を見ましたので間違いありません。「参加」するだけの時と「車の提供」では責任感が違うのでしょうか。(笑)トランクを開けると「好日山荘」の紙袋が入っていました。中を見ると真新しいピッケルが入っています。おまけに値札まで付いています。サスケ先生の手で値札が外され、すぐに使えるように調整をしてもらいました。そんな時間を過ごしているうちに参加者全員集合となりました。2台の乗用車に分乗し無線で連絡を取りながら新御堂筋を通り吹田インターチェンジから名神高速道路に入り小牧JCから中央道を経て長野道「豊科インター」を出て中房温泉に向かいます。
高速道路が「土日休日どこまでも千円」効果で渋滞も充分予測しながら運転時間2時間を目途にトイレ休憩をとりながら進んでいきます。予想した渋滞もなく豊科インターにこのまま走行すると平日の午後11時前に通過することになります。せっかくの「どこまでも1000円」効果に便乗することができなくなります。
 
 新品のピッケル
そこでひとつ手前のサービスエリア「梓川」で長目の休憩と仮眠をとり日付変更の休日を待つことにしました。梓川のパーキングは満車です。トイレに行く子供が「なあなあ12時になるまでここで待つんやろ?」と父親に聞いていました。いずこも同じ考えの様です。12時を過ぎたので出発をしようとしたら他の車も動き始めました。出口の豊科インターはETC専用出口を待つ車で渋滞していました。 
高速道路を出るとすぐに
 
正ちゃんカー サスケ号 
「酒」の看板を見つけ前を走る車から後ろの車に無線で「ビール買うてきてや!」の指令。「わかりました」こんな時は無線の返事も早いです。高速道路を出てカーナビに沿いながら中房温泉登山口へ向かいます。山道でヘヤピンカーブが続き始めるとサスケドライバーは少年の様に目が輝き始めました。暗闇の中、対向車はありません。ブレーキを踏まずに九十九折りに続くカーブを走ります。後続の車は追いつけなくてライトの光が遠ざかります。前方にやっと灯りを見つけた所は下山時に宿泊する「国民宿舎有明荘」だったんです。しばらくして後続車がやっと到着しました。「飛ばしまんなぁ!」と後続車のドライバー。睡眠薬代わりのビールをググッと飲み干し仮眠します。狭い車の中も燕岳の夢を枕にすれば苦とも思うことはありませんでした。
     登山前夜
夜明けとともに、ガサゴソとみんなが起きてきました。朝食を済ませ、日焼け止めを念入りに塗り、中房温泉登山口までウオーミングアップをかねて歩いていきます。午前6時30分中房温泉入り口で登山届けを出し、いよいよ登山開始です。天気は晴れ。雨の心配はなさそうです。第1ベンチには40分ほどで到着しました。すでに先客がベンチを埋め尽くしていました。衣類調整と水分補給をして30分ほどをかけて第2ベンチに向かいます。
みんなの足取りも揃っていて事前の各自のトレーニングの成果が出ている様です。
第3ベンチ、富士見台と充分に休憩を取りながら行動食も取りながら天気が良いせいでしょうか、みんなにゆとりを感じます。富士見台は富士山も見える場所として有名ですが今回は残念ながら見ることはできませんでした。
 第一ベンチで最初の休憩  いよいよ雪道が始まります  第二ベンチでアイゼン装着  ゆっくりゆっくり登っていきます
本日リードの姫 合戦小屋到着 重い荷物のパワフル寿ちゃん ねこちゃんも頑張ります
靖ちゃんもアイゼンになれてきました あっこちゃんも姿勢を保って歩きます ラストのポチさん…立派な山男 合戦の頭に到着
「屋根が見えてきました〜まもなく合戦小屋で〜す」後ろに伝達をすると心なしかみんな足早になった様に感じました。ここは夏場にスイカを売っている小屋として有名ですが今は季節的になく、コーヒーなどの飲み物を売っていました。合戦小屋からは冬道のため、見上げるとため息が出るほどのきつい直登となります。「気合いを入れてゆっくり行きましょう」自分に言い聞かせながらトップを歩きます。一人のバテ者も出ないように気配りをしながらトップの孤独と闘いながら登って行きます。トップの孤独とは、おしゃべりや景色の観賞などの余裕がなくルートハンティングと速度を考えながら歩くので孤独になるのです。これはこれでまた使命感が味わえていいものです。雪道は踏み跡がハッキリしていて楽ですが間違った踏み跡もあるので気を付けねばなりません。
急傾斜を登りきると合戦の頭です。燕岳、北燕岳、蛙岩の有る表銀座従走路、その奥に子槍を抱える槍ヶ岳の穂先が見えます。
「燕山荘が見えました!もうすぐです!」と叫ぶとリーダーが「まだまだや。もう一度休憩が必要」と言います。小屋がすぐそこに見えている気がしますが疲れた身体には、とてもつらくて遠い距離でした。ここで少し足取りにばらつきが出てきました。遅れた人を待つために列詰め調整をし全員揃って山小屋に到着することにしました。
左手には大天井岳、東天井岳、横通岳、常念岳がくっきりと浮かんでいます。しかしその稜線の遠望を楽しめないほど心臓が激しい鼓動を打っています。一歩一歩と歩を進めていくうちに山小屋の裏側に到着。
「見えた〜着いた〜」歓声に似た声があがります。
スイスのアルプスを想像させる燕岳からは雪の峰峰が「ようこそ」と声をかけてくれた様な感動を覚えました。「私にも雪山のぼれた〜」「うれしい〜」みんなの感動の声が心地よい響きで伝わってきます。2704bの感動です。
ところが「おっとどっこい」裏側に着いたために表に回らなければ小屋に入ることが出来ません。「緑色のロープに沿ってお進みください」との表示板。燕山荘でチェックインを済ませ部屋に案内をしてもらいます。二段ベツトの上下を案内してもらいました。他の登山者とは別になっておりホッとしました。
 
 姫さん  サスケさん  真知子さん  石黒パパ  あっこちゃん
男性が下の段、女性が上段、上の段からは雪の峰峰が美しく見えますが、下段は雪のカーテンが張られており真っ暗闇です。(女性一同から男性のみなさんへごめんなさい)燕岳山頂へは更に40分かけて登っていきますが荷物の片づくのも待てないくらいに姫が早く山頂へ行こうとみんなを促しながら、自分だけさっさとフロントの方向に出かけていきました。
ネコさん 靖ちゃん ポチさん 正ちゃん
それもそのはず3度目の登山だと言うのにまだ頂上を踏んではいないのです。今回は何が何でも頂上に登らねばなりません。 
初回の登山時に感動の祝杯をあげ酔っぱらって昼寝をした場所で記念撮影をし燕岳山頂2762.9bを力強く踏みました。
頂上では360度の大パノラマ。
立山をはじめ南アルプスの鳳凰三山、夏に行く甲斐駒ケ岳に仙丈ケ岳。直下に広がる高瀬渓谷、その上流の千丈沢から駆け上がるように延び多くの岳人の命を散らした北鎌尾根。そしてその最上部に槍ヶ岳の穂先。更にその奥に槍穂高の従走路、前穂高岳と吊尾根もくっきりと見える。東に派生する裏銀座従走路の東鎌尾根から立山に続く峰峰もくっきりと浮かんでいる。
その中心の燕岳の頂上を今回は確かに踏みました。!感動も踏みました。!
長い間の念願だった頂を踏んで、これですっきり。


山頂から戻ると生ビールが待っていました「かんぱ〜い」こんな美味しいビール味わったことがないとみんな大喜び。夕食までには時間もあり持参したウイスキーを頂いたり、ビールとワインを買い足し愉快な酒盛りが始まりました。酒の肴は雪景色。夕食の後はオーナーのお話と4bのホルン演奏でした。気圧の低い中のホルンの演奏は感動的でした。部屋に戻りまたまた酒盛りの延長となりました。 
 
     
ほしがらす 迎えに出るや 岩の峰
燕山の 岩を研ぐ雪 溶けいでし
久保公一
 燕岳に続く道  燕岳山頂にて
 オーナーのホルン  オーナーと  夕食のひと時
リーダーのJONは山頂から戻ったときの生ビール一杯と部屋で呑んだおいしいワイン少々で酔っ払い、夕食も喉を通らず早々にダウン。おーい明日大丈夫かー。人のことより自分のことのほうが大事、前日の睡眠不足が重なり消灯を待たずにおやすみなさ〜い。按摩してくれへんかったなあ。
その他の写真は、サスケさんのスライドショーでお楽しみください。『やまたびBBSからお入りください』
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