姫の山登り
愛車の軽自動車「四万十号」に乗り南アルプス「甲斐駒岳と仙丈ケ岳」登山に出かけました。登山届けもちゃ〜んと書きました。豊中ICから名神高速に乗り、小牧JCから中央自動車道に乗り継ぎます。
ナビちゃんに案内されながら伊那ICを出て「高遠城址」をめざして車を走らせました。その後は152号線を南下し赤い橋の手前を左折なんですが真夜中のため見落としては大変です。標高870メートルの位置にある南アルプス林道バス乗り場・仙流荘前の駐車場に無事到着。そこには蒲団もある無料休憩所がありましたが満員の様なので愛車の中で始発の6時05分発のバスまで仮眠することにしました。
一般車両はこの先の戸台までしか通行できず、駐車場も無いため、愛車はここに置いていきます。
朝の5時に
「みなさ〜ん、おはようございます…広場が賑やかになりましたので臨時便のバスを出しま〜す」
と駐車場に向かってアナウンスがありました。午前5時発の始発の前のバスに乗車することができました。駐車場には既に100台ほどの車が止まっておりました。

村営バスに乗ると運転手さんがハンドルを握りながら、高山植物が咲いていればバスを停め、山が見えたらバスを停めガイドをしてくれます。伊那名物の蜂の巣までも案内をしてくれてバスの中は笑いでいっぱいです。田圃の畝には、多くのかかしが立っており登山者を迎えてくれ、ほほえましくもありました。しばらく走ると赤色の戸台大橋があり番人がおり、南アルプス林道へのゲートを開けてくれました。ここからは自然を破壊しないために一般車両、バイク、自転車もシャットアウトです。
お天気は勿論「晴」です。村営のバスに揺られて約1時間たつと登山口となる北沢峠に到着です。身支度を整えてさあ出発です。
南アルプスは、長野県、山梨県、静岡県の3県にまたがり3000m峰13座
を有する広大な山脈である日本最高所の峠といわれる三伏峠を境に北部と南部にわけられています。北部には甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳、塩見岳、南部には荒川、赤石、聖、上河内、光岳などの峰々が連なっていて、山腹を豊かな原生林に覆われた山容の山が多いそうです。最初の予定では仙水小屋から仙水峠のコースを予定しておりましたが双子山から駒津峰コースを選びました。双子山を経て標高2750メートルの駒津峰に到着です。ここからの展望は360度の大パノラマで富士山、北岳、仙丈岳、槍ケ岳もくっきりと見ることができます。ここまで登って来た者への最高のご褒美でしょうか。 
    駒津峰にはリュックが沢山置いてあり、甲斐駒ヶ岳へはサブリュックに水と行動食のみで登る人が多い様です。しかし私は次なる登山の訓練と思い9キロのリュックを背負ったまま登ることにしました。
花崗岩の風化した砂礫帯で山全体が白く太陽に反射してまばゆく光っています。石仏も沢山ありました。ヘルメットをかぶっていると「クライミングですか?」と何人もの人にたずねられながら重い足取りで歩きます。しかし岩場がくると疲れが吹っ飛び足下が軽くなり、快適に歩けます。 
   
今まで追い抜かれた人達を追い抜いていきます。ザレ場歩行に戸惑っていた女性にシュリンゲで手助けしてあげたりもしました。
甲斐駒ヶ岳の頂上を踏み下山。摩利支天を経由するコースを通り、駒津峰から往路とちがう仙丈峠にむけてのルートを下りました。仙丈峠から川原の道が、とてつもなく長く足にきつく、これなら同じコースを戻ればよかっ たと後悔しました。 
仙丈峠名物の川原も疲れ切った足には何の魅力も感じません。仙水小屋まで下り、ここで泊まりたいと思う気持ちをやっと抑え、果てしなく続くいくつもの堰堤を越えやっとの思いで北沢峠にたどり着きました。ここから大平山荘までの道のりは長すぎるため最終のバスにのり麓の仙流莊まで戻ってきてしまいました。
バス乗り場で1枚の案内パンフレツトをもらいわずか5分の場所にある、想像を絶する民宿に羽根を休めることができました。出費はバスの往復分が余分にかかっただけで無駄と言えば無駄で贅沢と言えば贅沢なのですがそうしちゃいました。本当はポチの体力が翌日の仙丈岳は無理かなと判断したため麓に戻る決断をしたのです。心地のよい場所で羽根を休めると体力も復活し、半ば強引にまたバスに乗ることにしたのです。
  翌日も勿論「晴れ」
2回目のバスの中で出発を待っているとコンコンと窓を叩く音がします。すでに28人満席のため今にも出発しそうでした。
「ポチさ〜ん」

何と何とサスケ先生の同級生のグループの方達でした。こんなことってあるのですね。びっくりしました。お先にとバスは出発し今回は北沢峠まで行かず大平山荘前で下車し,藪沢経由で仙丈ヶ岳に向かいます。「とにかくゆっくり、小股で歩き50分に7分の休憩」
と決めタイマーをセットします。木立の中を吹く風は秋の気配で暑さはほとんど感じません。沢沿いに登っていきますので時々、顔を洗い、喉を潤しながら進みます。
朝の出発が遅かったので7〜8時間を予定していますが最終のバスに乗れないかも知れません。 
ポチの足運び次第と考え途中の山小屋泊になるかもと覚悟はしました。やはり昨日の疲れが抜け切れていないのか、やたら休憩を求めてきました。最初の小屋「馬の背ヒュッテ」で宿泊交渉をしましたら満室だが部屋の入り口ならなんとか泊めて貰えるよう交渉成立。(穂高岳山荘の入り口の部屋よりよっぽどましでした)
昼を過ぎたばかりで、このままでは勿体なく
「頂上まで行って来るからここで休んでいて」
とポチを残し一人で頂上まで行くこととなりました。山頂近くに藪沢、小仙丈、大仙丈の典型的な三つのカールと豊かな高山植物群を合わせ持ち、南アルプスの女王と呼ばれている仙丈ヶ岳が手に届きそうです。仙丈荘は市営のためソーラーシステムが完備され風力発電も備えてあり団体も多く、たとえポチがここまで登ることができたとしても宿泊は断られたであろうと考えると馬の背ヒュッテ泊まりの処置が適切であったことに安堵しました。仙丈荘泊まりの人達はここにリュックを置き身軽に頂上まで行く様子です。私の前を30人ばかしの団体さんが登りかけていました。私の足は遅いためその団体の後ろを歩きます。先頭は山岳ガイトさんで後ろ3人は添乗員風でした。前のおばちゃん2人が花の実をむしりました。続いて後ろのおばちゃんも同じ行動を取りました。
「チョット何したのですか!貴重な高山植物を触っちゃいけないし添乗員さんも見てるだけじゃあ…いかんやろ!」

私の剣幕に
「さわらないでくださ〜い」だって!バカか!こいつら! 
広いスペースで30人の団体は私に道を譲りました。先頭の山岳ガイドには無線で後ろから伝達があったらしく通過する際に
「すみませんでした。今からもう一度ここでよく注意しますから」
 
と声をかけてくれました。頂上ではこの団体が追いついて来てピーチクパーチクでしたが頂上を制覇した共通の喜びのため不思議と不快感はありませんでした。ないどころか記念撮影だと言うのでシャッターまで押して差し上げました(笑)頂上は以外に狭く感じました。しかし展望は素晴らしく富士山、北岳が並んで見えました。山頂からの景色を堪能して、残してきたポチの待つ馬ノ脊ヒュツテまで下りました。ひとりで暇をもてあましているだろうと思っていましたら何とサスケ先生の同級生グループと酒盛りをしていました。さも自分が北鎌尾根に登った気で話しを展開していた様で苦笑しちゃいました。馬ノ背ヒュッテから、お花畑の道なのですが残念なことにもう花の季節は終わっていました。鹿の防止網が張り巡らされており携わった皆様のご苦労が伺えます。花の時期にはクロユリ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどが所狭しと咲きほこり、登山者の疲れた身体を癒してくれるのだそうです。 
    5時の夕食のカレーを終え、あとは8時の消灯を待ち寝るしかありません。馬の背ヒュッテのシステムはリュックは一切部屋に持ち込めないシステムにしてあります。荷物置き場があってそこに全員が荷物を置きます。ガサゴソ防止みたいです。早立ちの人はスーッと起きて階下の荷物置き場で支度をして出発するという合理的なシステムに感心しました。
消灯のあとの満天の星空のあとはトタン屋根を金平糖を叩き付けた様な大粒の雨と風の音で目が覚めました。でも一瞬の出来事で翌朝は太陽がのぞいていました。 
早起きだけは得意のポチは5時からの朝食に並びます。朝食を済ませサスケ先生の同級生の皆様に「お先に」と声をかけ仙丈ヶ岳に向かいます。途中で富士山が顔を見せてくれポチも元気が出たようです。紅葉には少し早いものの典型的な三つのカールは、    
南アルプスの女王と呼ばれるにふさわしい出で立ちで私達を迎えてくれました。頂上でしばし360度パノラマショーに酔いしれて小仙丈を経て北沢峠に降りていきました。途中で出会う人々は長衛荘の宿泊客らしくどこで休憩していてもみんな同じ弁当を広げていたのには笑えました。、急坂を下リハイマツ帯を過ぎると森林の道に出ます。樹林の急坂を下り、五合目大滝ノ頭さらに下ると四合目、三合目、二合目、一合目の看板がゴールが目前であることを知らせてくれました。 
北沢峠発11時のバスに乗り仙流莊前まで戻りつくことができました。
出発前にインターネットで「仙丈ヶ岳で滑落死」という記事を見て少しヒビリましたが安全を連呼しながら無事プライベート登山を終えました。仙丈ヶ岳(3033m)、大仙丈岳(2975m)、駒ヶ岳(2967m)を制覇した気分は爽快です。今回は所要時間については「ポチタイム」なので参考にならないため、あえて書いていません。やまたび倶楽部の団体登山だと、わがままを言わず登ったであろうと思われますが・・・

南アルプスの女王と言われる仙丈ヶ岳と男性的な甲斐駒ヶ岳のどちらかを選べと言われると、
「う〜ん。できたら両方行きたいな」
が正直な感想です。どちらが登りやすいかと言えば仙丈ヶ岳でしょうか。
1日目は朝大阪を出発し大平山荘で宿泊(移動日として)。山荘の庭先から藪沢道を通り仙丈ヶ岳へ登り北沢峠へ下山。
2日目は長衛荘で宿泊。翌日は甲斐駒ヶ岳登山をし再び北沢峠へ下山しそのまま仙流荘前まで戻ります。
3日目は麓の農家民宿「みらい塾」で焼酎を飲むってのはどうかしら?3泊4日って無理でしょうかね。
私は11月から無職の身となるので毎月少しづつ「登山貯金」をしようと考えています。
何の「参考」にもならない「山行」記録でした。ハハハ