姫の山登り
「春山登山いざ立山へ」
大日岳をバックに室堂平を行く
アイゼンを装着中
アイゼンを装着して…いざ
白い雷鳥に出会いました
夏道と違い一直線に登ります
一の越へ最後ののぼり
一の越から雄山に向けて
最後ののぼりを終える
雪に沈んだ鳥居
山頂での姫
平成20年5月2日午後9時40分発の富山行き夜行バスに乗り込み立山に行くことにしました。
前日からの風邪が原因で咳がひどく頂上がめざせるかどうか心配しておりましたが体調管理は自己責任のため気合いで何とか出発にこじつけることができました。
バスのチケットは老眼鏡を用いてもみることが出来ないくらいの小さな文字のため、やまたび会員用の「私的キツプ」を作成しドライバーが15名分チェックをしている間にさっさと車内にはいることができました。後部座席はやまたびが占領です。前の座席は私より1分ほど早く電話予約をしたと思われる登山のグループが乗り込んでいます。千里が丘、京都で乗客を乗せあとはほとんどノンストップ状態で走行します。車内にトイレもあるため時間の無駄がありません。
3日の早朝、富山駅前に到着しました。富山電鉄に乗り換えの時間があまりありませんのでリュックをリーダーに託し赤信号を突っ走ります。富山県人の土地柄でしょうか。あわてず急がず15名分のキツプの発券作業がはじまりますが良い言葉を使うと「のんびりしてる」悪い言葉を使うと「のろい」。
リーダーが来て「何やまだかいな?」と言う位時間がかかりました。

立山までの道中は、のどかな車窓を楽しみながら、時折スピードを落として観光案内もしてくれて「旅気分」を味わいました。車中のアナウンスで「ロープウエイは只今1時間待ちでございます」とのこと、立山駅におりたらロープウエイ乗り場に走ります。よくよくアナウンスを聞いていたら室堂までの直行バスを運行するとのこと、後部に並ぶリーダーの顔を見ると「行け」と合図があった様な気がしましたので直行バス乗り場の方へ走り15名の座席を確保しました。あとで聞くとロープウエイの待ち時間は2時間半だったそうです。クワバラ、クワバラ。

室堂に降りると連休とあって大都会なみの混雑で、人、人、人に驚きました。観光客をかきわけて登山コースのやや広めの場所を見つけてミーティングとアイゼン装着です。全員で同じ行動をしようという判断でゆっくりと登ります。ツル〜ツル最初はグサ雪に足を取られながらも、だんだん調子づいてスムーズに登り始めることができました。60分進んで休憩をとる予定でストツプウオッチを首にかけました。本日のトップは姫が仰せつかりました。「その速度でOK」とリーダーからお墨付きをもらい、ゆっくり後ろを振り返りながら、対抗者を交わしながらなだらかな場所で水分補給をとります。一の越小屋がすぐ目の前に見えているため「何やここで休憩かいな?」 と思われたかも知れませんが下からみあげる距離と実際にあるく距離では全然ちがいます。ここで休憩をとらなければあとは急な斜面でしか休憩できなくなります。休憩を終え一の越小屋をめざします。後ろを振り返ると一列にきれいにならんでいます。よしよし、もうすぐ一の越小屋です。ここの鞍部に上がると景色が変わります。
黒部湖をはさんで後立山連峰が屏風のように立ちはだかり、振り返れば室堂平や大日岳が雄大な景色を見せています。

一の越小屋で待機組と雄山組に分け、一の越組は360度の大パノラマショーをみてもらうことにしました。雄山までの道のりは深い雪と岩肌が交互にありアイゼンを装着していてもツルツルと滑り落ちます。みんな必死で頑張っている様子がうかがえます。
「この歳になってここまで連れて来てもらってうれしい」とおっしゃる方もいますが
「行きたい、行こう」とご自身で決めたことが若さの秘訣であり自信につながるのだと思います。雄山の頂上からの展望は涙が出そうなくらい神秘的な美しさを醸し出しています。あれが槍、あれが剱と案内板をみながら山の名前を確認します。自分が制覇した山は特に親しみが沸くようですね。

雄山で感動的な出会いがありました。スノーボーの若者がいまからここを滑り降りると言うのです。名前はニセコのスノボー青年「春日くん」スノーボーのプロの様です。「じゃあ行きま〜す」爽やかな笑顔を残し、あれよあれよという間に山崎カールの谷底を目指して見事に滑降。アリの様に小さくなっていきますが、こちらに向かって手を振ってくれているようです。
何時間もかけて苦労してスノボー背負って登り「あっ」という間に滑り降りる快感を見物人の我々にも与えてくれました。

雄山の頂上から降り社の前で昼食を取ろうということになりました。その時、事件は起きたのです「キャー」立山にこだまする姫の悲鳴。すでに降りて昼食を取っていた仲間は
「またまた姫のパフォーマンスや」
と笑ってみていた様ですが右足が太股までズボッと雪の穴に足を突っ込んでしまったのです
「助けて〜抜けない〜」
笑ってみていた仲間も冗談ではないことに気が付き助けにきてくれましたが抜けません。スノボーの写真に熱中しているリーダーに助けを求めましたが、本気にしてはくれませんでした。
通りがかりの若者と仲間がピッケルや手を使い堀り出してくれるのですがまるで「あり地獄」の様に埋まってしまつています。ようやく足が抜けました。もう少しでお尻が凍傷にかかるところでした。
「雪の穴 片足ぬけず 雪地獄 助け呼ぶ声 雄山にこだま」

雄山からの下山はことの他大変で滑落しないように注意をしながら下山。
一の越で待つ仲間と合流し室堂へむけて無事全員下山することができました。

ミーティングでは、滑落停止の練習どころか本番を試みたサスケ先生や、滑りまくりの人やらの話を聞き宿となる「みくりが行け温泉」へ向かいます。この温泉は日本一高いところにある温泉として有名で2400メートルのところにあります。古くは「御厨ケ池」と書き神様の台所という意味で神秘な池としてあがめられてきたそうです。周囲600メートル、深さ15メートルにより出来た山上湖で雨が降れば伏流水となって地獄谷へと抜けて満水になることはありません。朝な夕なに立山の勇姿を映し出す神秘的な池です。
フロント係に
「地獄谷に行きたいのですが」
と訊ねると
「死にに行くのですか?」
と言われましたる6月までは人を寄せ付けぬ地獄の谷だそうです。12名が一部屋となり、あとの3名は相部屋となりました。相部屋に行くと「これで5人か〜」とため息がでるほどでしたが、とにかく同室者が来ない間に布団を敷き詰め自分たちの確保しました。押入の空間を利用して姫のベツトをつくました (これで襲われる心配はない)温泉に浸かり夕食をおいしく頂き二次会も盛り上がり、夕食後、食堂で開催された、スキーガイド・本田大輔氏の「雪崩講座」も非常にためになり、楽しい夜はあっという間に過ぎていきました。よく朝も温泉につかりバイキングの朝食をいただき、立山ホテルの階段付近にリュックを置き雪の大谷ウオークを散策しました。

昨日の登山とは別の味わいがあり感動の時間を過ごすことができました。称名滝へ行くつもりでしたがバスの渋滞が予想され、やむなく中止をしました。帰りの大阪行きのバスの乗車時間までには少し時間に余裕がありすぎましたが充分に立山を堪能して頂けたのではないでしょうか?山は逃げることはありません。季節を変え再び訪れることがあるかも知れません。また新たな感動を味わって下さい。一度しかない人生ですからチャンスがあれば迷わず逃さないでください。
素晴らしい天気に感謝。
制覇できた15名の参加者に感謝。
「行っておいで」と見送ってくれて家族に感謝。
城下の見回りをしてくれた仲間に感謝。
何よりも自分自身に感謝!





スタート直前の春日くん スタート 続いて滑ったB子さん ラストはC子さん