2016
六甲山頂への道は崩落しており 仮設道がつけられていた
初夏を迎え、南アルプスへの夢は一歩近づいた気がします。アクセスの悪さから「どうしたもんじゃろのぉ」と悩み続けましたが、聖岳&光岳へのコースもやっと決まりました。山行は毎日平均8時間以上、宿泊手段はテント泊。65歳を過ぎて、ちょっとハードな山行ではありますが、健脚な人であっても困難なコースと言われタイムを気にせずマイペースで進めとアドバイスも頂きました。聖岳&光岳を突破しなければ次のステップに進めないのです。体力強化も必要です。途中で若者達と合流しますので迷惑はかけられません。そんな決意のもと6月2日木曜日、午前8時阪神淀川駅に立っていました。夏山トレーニングとして芦屋から有馬温泉に抜けるコースを選び、ご褒美に有馬温泉金の湯に浸かって帰ろうと言う計画です。 
 阪急・芦屋川駅 09:10 ⇒ 滝の茶屋 09:30 ⇒ 第一鉄塔 10:00 ⇒ 風吹岩 10:30-10:35 ⇒ 雨ケ峠 11:27-11:48 ⇒ 一軒茶屋 13:00-13:10 ⇒
 あづま屋 13:50 ⇒ 虫地獄 14:30ゴール!
阪神「芦屋」から歩き始めます 途中、黒塀の中からグミの実が 阪急「芦屋川駅」9:05通過
滝の茶屋 藤木久三レリーフ 中央稜線 第二鉄塔
いつもは通らない梯子場を登ります…梯子のぼりの練習だい…役に立つかなあ
 いつもなら滝の茶屋を過ぎて地獄谷コースに下りていくのですが今日はノーマルルートの「中央稜コース」を選びました。平日なのに駅前広場では通路を占領して30人ほどの団体が記念撮影をしている始末です。前を遮り30分ほどのウオーミングアップコースでもある滝の茶屋まで歩き始めました。湿度が高いのか大汗をかき、しばし休憩してから何年ぶりかの中央稜に挑みました。「やさしいコースを歩いてはダメだっ!難しいコースを行けっ!」と師匠の檄が飛びます。中央稜コースはいつも下りで利用しますが登りは久々で、岩場登りもあり、楽しかったのです。
B懸垂尾根 いつもはあの尾根歩いてる
しかし最初は息があがり「まるでポッチーみたいやわ~」と言いつつ1時間で風吹岩に到着しました。大勢の人が休憩をしていました。風吹岩周辺では野良猫が異常に繁殖し不気味です。聞けば週に何度か定期的に餌を撒き散らしに来る登山者がいるらしく丸々と太っているではありませんか。かわいそうに思うなら自宅に引き取り可愛がってあげればいいものを・・・。私達も5分ほど休憩し出発しようとすると30人の団体が追いついてきました。狭い階段は一人づつしか通行出来ません。登り優先とは言え、30人の団体は途切れることなく登ってきます。やっとその中の一人が「待つ」という姿勢を取ってくれました。「気づいてくれてありがとう!」と嫌味混じりのお礼を言い、雨ケ峠に向かいます。
ここらあたりまで来ると風が心地よく暑さ知らずで快適です。最初は少し息切れしていましたが体調が整ったのかスムーズな足運びとなりました。雨ケ峠はいつ歩いてもきつい登りです。ここで早めのランチタイムを取っていると30人の団体が前を通過していきました。一軒茶屋まで休憩なしで行くみたいです。鉢合わせにならずにホッとしました。高齢者と若者がまじりあったなんとも奇妙な団体です。六甲山と言えども30人連隊は無茶です。
コアジサイが満開 ゴルフ場の中を通過させていただきます
ここが雨が峠、ここで昼食でーす
 本庄橋跡を通過  土樋割り道への分岐辺りは工事中  いよいよ七曲に入るね
雨ケ峠を過ぎ七曲りに差し掛かるところは大工事が行われており登山者用に迂回道が出来ていました。川を横切り、七曲りのクネクネ道を、どちらからともなく「まだかなぁ~もうちょっとかなぁ~」と言いながら登って行くと、やっと鉄の橋まできました。もうすぐ一軒茶屋です。一軒茶屋直下で何としたことか左足の太ももが攣りはじめました。師匠も右足のふくらはぎが同じく攣りはじめたらしいです。公園トレーニングの成果はあまり見られず「やっぱり公園トレは成果に繋がらんなぁ。週に1回芦屋から有馬越えトレーニングするぞっ!」と言うことになりました。トホホホ。 どうにかこうにか一軒茶屋に到着。一軒茶屋では30人の団体さんが昼食を取っていました。 
 七曲の急坂…だい 一軒茶屋まであと400mです 
ここまで来れば一軒茶屋はもうすぐ…だい   一軒茶屋に着いたぞー
 一軒茶屋でちょっと休憩  魚屋道を有馬との中間にある東屋まで降りてきました
 炭屋道の分岐です 
 虫地獄にゴーーーーーールです 金の湯で汗を流して家路につきます 
一軒茶屋から有馬までは下りばかりですが、ここで速度を速めると膝を痛めることが多く、速度調整しながら「♪ここは南アルプス聖岳~♪」と鼻歌まじりでイメージトレーニングすることも忘れませんでした。交換してもらったばかりの新品リュックの中身は合羽とレーションと飲み物の日帰り装備で荷物も軽く、足取りも軽いのですが、本番の南アルプスを想定して一歩一歩を大切に歩きました。14時30分、有馬のゴール「虫地獄」に到着です。観光客の多い有馬温泉の街の中を縦断し金の湯に向かう途中の店先に30人の団体がいました。若い女性に「ねぇ、みなさんはどんな団体なの?」と聞くと「会社の人達です」「と言うことは年配の方達は上司?」「はい」「ほぉそりゃ大変だね」「エエ」蚊の鳴くような小さな声でした。(笑) 「ゆ」と大きく書かれたのれんが見えてきました。金の湯に到着です。驚くほど空いていました。いつも芋の子を洗うほど満員なのですが、この日の女湯には5人ほどしか入っていません。ラッキーです。「ぬるめ」と書いてある湯船に足を入れるとアチチチ~42度と書いてあります。(ぬるめちゃうやんか~!)「あつめ」は46度で誰も入っていません。ほどよく疲れは残ってはいるものの達成感は大きかったです。入浴後はバスで宝塚に出てJR宝塚駅から海老江駅下車、無事自宅に辿り着きました。
山行時間 5時間30分、家を出て帰り着くまでに歩いた歩行記録は31415歩。 阪神「芦屋駅」から有馬温泉バスターミナルまでの距離は13.5kmでした。
 「夏トレ・LESSON-1で感じた事」
快適な山歩きは「荷物が軽い事」だと痛感した1日でした。レーション、食材を工夫し、着替えは素材の軽い物を選び、なるべく軽い荷物で歩くことが大切だと思いました。(かと言ってツエルト、救急用品など安全装備は省かぬ事) 山の上でのご馳走は美味しい空気で充分です。翌日歩けるだけのエネルギーの補給さえすれば粗食で充分なのです。下山してからご馳走を食べればいいのですから。山小屋に食材を売っていれば利用すればいいのですが必ずしもあるとは限らないのです。小屋で「食事有ります」と書いてあっても、宿泊者優先のためテント泊の者にまで、当たるとは限りません。これは笠ケ岳で体験しました。宿泊日数分の食材はリュックに入れておかなければなりません。体力のある人はいくらでも重たい荷物を担ぎ上げることができますが我々はもう無理です。三俣山荘のテント場に荷物を置き、サブリュックで焼岳に登った時、標準時間より1時間も早く山行できたことがありました。荷物の軽減は足取りが軽いと言う証拠です。また大事なことはテン場では隣の人のご馳走を羨やましがりません。仲間同士であっても守らなければいけません。山の鉄則は食料を「あげたり、もらったりしないこと」です。昔の山行でギブアップした同行者の荷物を、仲間全員で分担すべくリュックを預かったところ異様に重かったのです。「何がこんなに重たいの?」と言いながら開けてみると、自家製の漬物を参加人数分(20人)担いでいたことが判明したことがありました。それ以後は「貸し借りなし」を徹底しました。
 姫の感想
飯豊山で・・・宇都宮チームが夕食にと鍋の材料とビールを担ぎ上げてくれて感激の涙を流したことがありました。「サプライズだよ~!」と明るく笑顔を振りまいてくれましたがいま思うと重かっただろうにと感謝と反省とが入り混じります。まぁこれは特別中の特別と言うことでお許しを頂き、食材は「個人装備」と割り切ることが大切です。
 JONの感想
高山に行くためのトレーニングは必要かも知れませんが、日々の山行が一番大切だと感じました。常々2週間おきに山歩きをするのがいい、3週間空いたらちょっと心配と言っていますが、今回はまさにその通り、4月16日に播磨アルプス・高御位山を歩いて以来山行らしきものをやってなかったので、バテバテ、へばり、足の攣りと散々でした。
文:美智子姫