2016
「T橋さんの腕試しのつもりが、わてらが腕試しされました」の巻
2012年4月「岩登り・佐土新」のレポートをみたT橋さんの「ぜひ行って見たい岩場」と言う希望で姫路別所の「佐土新」と言う集落にある御着のゲレンデに出かけることにしました。前日の雨はすっかり上がり、少し肌寒いですが日本晴れです。今日のリュックの重さはロープが入って10㎏、すべり症に、さほど影響の出ない重さです。JR大阪駅から午前8時発の播州赤穂行きに乗り 「ひめじ別所駅」で下車。同じ電車で多分、同じゲレンデを目指しているだろうと思われる徒歩組が6~7人ほどが前を通り過ぎて行きました。私達は「夕陽ケ丘」行のバスを利用し、佐土新バス停で降車。目前ドドーンと御着の岩場がそそり立ちます。そしてその右奥には山神社の岩場。 
佐土新でバスを降車 目前にドドーンと 御着の岩場
御着の岩場の右奥に山神社の岩場 御着の岩場の基部には山桜が満開でした
「また来たでっ!」岩場に向かってそう挨拶をしました。佐土新集落の「御着の岩場」は町から近いところにあり、バス停から20分ほどのところです。山桜が咲いています。春です。春なんですね。御着のゲレンデに到着すると既にクライミングをしている組があり朝の挨拶を交わしました。すると「あっ!ホームページで見ました」と私の顔を指差しました。T橋さんの見たと言う「岩登り・佐土新」のレポートを見た様子でした。聞けば大阪の人で昨晩からこの場所に来ているとの事、何とも熱心な方たちでした。隣にロープを張らして貰うと声掛けをして準備をしていると徒歩組がやってきました。岩肌は太陽の恵みを受け、ほどよく温まっている気がします。どんな岩場でも、緩そうに見えても実は厳しいのだと思って取り組むことにしています。
ロープを解いてパートナーチェックを終えT橋さんの疑問点を解決すると言う事を中心に、登攀下降の実技を交えながらの講座がスタートいたしました。 
本日のメニューは、①前回のおさらい少々 ②支点構築につい ③セカンドビレイのロープ操作 ④カムのセットの良否 ⑤壁面の打音テストなど、トレーニングの予定です。
御着岩アルパインゲレンデ
タイインは上から パートナーチェックは入念に 登り始めはスポットに入る心構えを
ガンガン登って行かれます…若い人の登攀って迫力があるなあ…
御着の岩場は、けっこうな岩場です。ハングあり、スラブあり。東面、南面、西面とグレードに合わせて利用することができます。何せ4年ぶりに訪れたゲレンデなので初めてと同じ緊張感が走ります。1本目のラインを決めてT橋さんがリードをします。ビレイヤーはジョンです。登攀途中でためらうT橋さんに「行ける!行ける!」と檄を飛ばすジョン。いつもは単独クライマーであるT橋さんに自信を付けて貰おうと激励の声を上げ続けました。T橋さんは安全についてはとても慎重で見ていて安心することができました。ある場所では躊躇いぎみに、またある所ではやや強引に進み終了点に到着。ジョンが続いて登るのですが体が重たそう・・・そう言えば随分クライミングしてないなぁ。続いて姫も登攀するのですが身体が重い・・・随分クライミングしてないなぁ・・同じやんか!何度もテンション、テンションと叫ぶ…
ロープくんが言ってましたよ 「テンションかかってるっちゅうねん!これ以上どないしてテンションかけるねん」
確実な懸垂下降の支点の無いときの下降の仕方など実践してみました。
岩場の危険度をチェックしてみました。 
終了点のハンガーが弛んでいました。指で回転させますと簡単に回りましたので、完全に外してボルトの根元をチェックしました。
ネジヤマ分ぐらいが摩耗していました。ハンガーの動きによって摩耗したのだと思いました。

工具を携行していませんでしたので増し締めが出来ていません。ほとんど緩んでいるようですので行かれた方は増し締めをしてください。
アンカーボルトの打ち込みが短いです。元のサイズが解らないもので何センチ入っているのか解かりませんがちょっと心配です。 
仕上がりはナットよりネジヤマが2山ぐらい出るのが普通だと思うのですが
アイボルトは決して安心できるアンカーではありません。残置ロープも怖いですね。 ご注意ください
M10のアイボルト JIS B 1168 の使用荷重は 1.47(150)kN(kgf)のようです。
岩の音を聞きました。最近岩ごと剥がれて落下する事故が多く、念入りに打音検査をしました。T橋さんは岩の剥がれる危険性があることを知り、正常音と異常音を聴き比べるために、打音検査の動画を撮っていました。
 正常音はカンカンと乾いたようなシャープな音がします。異常音はボコボコというような感じにきこえました。
この岩コブも、近いうちに剥がれ落ちると思います。
クラックにナッツのを効かせる練習をしました。回収するにも技術がいるようです。
カムの効き具合をチェックしました。ロープの揺れなどによって、少しづつ中に入っていくことも確認しました。 
ゲレンデを変えて2本目、T橋さんの調子がググーンと上昇してきました。ためらうと「行け~行ける~」と鬼の鉄拳が飛びます。T橋さんがリードで登り、続いてジョンが登り支点の取り方チェックです。「②支点構築について」は合格です。支点は既成のピンであったり、大木であったり、尖った岩であったりと適材適所の応用が何種類もあることを説明しているように下から見てとれました。続いて姫も登攀しましたが「テンション!テンション!」「ごぼう抜きして〜」とも聞こえたり静かな山に老婆の賑やかな声がこだましていた様に思いました。ラインを変え、互いに登攀下降を繰り返し「③セカンドビレイのロープ操作」など説明しているともうお昼の時間となりました。

昼食中には、つぎに目指す山への意欲(前穂高や北鎌尾根)など話が弾みました。
午後からは「④カムのセットの良否」についてです。まず携行の方法について説明がありその後、クラックを利用してカムやナッツを入れたり出したりと、どのようにサイズを判断するのかを実践しました。カムなどは高価な道具なので必ず回収することが必要となります。パートナーもカム回収の練習をしなければならないことを学びました。

ロープの手入れ方法は「使用したらその都度、熱湯で濡らしたタオルで拭き その後、乾いたタオルでもう一度拭く。時々洗濯し、その後はリンス処置をする」などを歩きながらも講習しました。(笑)あまり一度に多くの事を習得しても楽しくありませんので午後2時のバスを利用すべく荷物を整理して岩場見学をすることにしました。
御着岩の南面を見学しました 
奥に入ると巨岩が沢山あり、ピンが幾通りにも打ってありました。多くのクライマーがここで腕を磨いているのでしょう。登山道で恰好の大木を見つけてリュックからロープを出して支点構築のおさらいをしたりしました。座学は勿論必要ですが実践で学ぶと技術向上が早いと思います。
下山しながら後ろを振り向くとこのあたり一帯が「岩の宝殿」と言われるだけのことはあって尖った岩峰が美しいです。低い山なのですが充実感はいっぱいです。2時16分発のバスに間に合い快速電車で大阪駅に出て反省会は知らずと知れた「バツテラ屋」です。

いつ来ても大入り満員です。階段には多くのリュックが並んでいました。山屋御用達の居酒屋みたいです。この店を紹介してくれた高校の同級生にバツテラの写真をメール送信すると「福ちゃんは、バツテラ屋へ毎日行ってんのとちゃうか?紹介したみんなが行くからいつ行ってもいっぱいになんねや!」と即返信がありました。
 過去の佐土新の様子は下記URLよりご覧ください
 http://www.hime8kin.net/2014sankokiroku/140407gochaku.html
http://www.hime8kin.net/2012sankokiroku/120602saduchishin.html
http://www.hime8kin.net/2012sankokiroku/120418saduchishin.html
高層マンションT橋さんの感想
 駅からのアプローチが思いのほか近く、それでいて人が少ない、しかもルートがふんだんにあり、岩質や支点もしっかりしているので
とてもよい印象を持ちました。
まだリード歴が浅いので、クリップに手間取ることがありましたが、上空の景色と緊張は、脳内麻薬の生成に十分でした(笑。

 JONの感想
クライミングは安全に次ぐ安全です。2つ以上の安全を確保したいものです。
久しぶりに登攀しましたが、まあ体の重いこと重いこと。寄る年波には勝てません。しかし安全については更に追及していきたいです。

 ひめの感想
天気は良し、空気良し、時折吹く風もそよ風の言うこと無しの環境でした。今回は久々の遠出となりました。自称・腕の立つクライマーさんは私達が六甲山・A懸岩をよく利用する話をすると「え~っ?A懸岩なんかでまだやってるの?」と冷ややかに言いますが私達にはA県岩で充分なんです。正しい岩登りの基礎を学ぶのには、どこで練習しても同じです。グレードの高い岩場を選択したら、師匠が落ちちゃうよ~!最近、あちこちのゲレンデで岩が剥がれる事故も多発しており油断は禁物です。久しぶりに懸垂下降楽しみました。また行きたいな懸垂だけ。
文:美智子姫  
   懸垂下降の動画です