日本百名山探訪 水晶岳・笠ヶ岳・焼岳
●第3日目(8月5日・水曜日・晴れ) 水晶岳 2,986m 三俣山荘~鷲羽岳から水晶岳往復~テント撤収し双六小屋(テント泊)
水晶岳は富山市南東部に位置し北アルプスに属する飛騨山脈の山。別名を黒岳とも言います。標高3,000m未満の山としては、2,999mの剱岳に次ぐ高さの山で、山頂は切り立った岩の双耳峰で、北峰は2,977.7m、南峰は2,986m、三等三角点は北峰にあります。東斜面には、すり鉢状の圏谷地形(カール)があります。 山の上部は森林限界のハイマツ帯で、山頂の岩場からは飛騨山脈の大部分の山を見渡すことができる。南西に黒部五郎岳のカールを正面から望むことができ、北側に赤牛岳の赤い岩肌を望むことができます。水晶岳の上部で水晶が採取されたこと、また山肌が黒いことから別名の黒岳と言われる由来です。水晶小屋があるピークの山は、山肌が赤いことから
「赤岳」とも呼ばれることもあります。
 黒部源流域から岩苔乗越までひたすら
タイムスケジュール 
三俣山荘テン場 04:40
岩苔乗越 06:25
水晶岳  08:09
08:20
ワリモ北分岐  09:40
09:46
岩苔乗越 09:56
黒部川源流 11:00
三俣山荘テン場 11:35
13:00
三俣峠  14:00
双六小屋テン場 16:20
午前4時、今日もいい天気です。ウッチー会長は水晶岳には既に登頂済みのため、未踏の山「三俣蓮華・双六岳」を登ることになりました。私達は水晶岳を目指しウッチー会長とは双六小屋で合流することになりました。午前4時、ウッチー会長を起こさぬようにそっとテントを抜け出し、鷲羽・ワリモコースではなく黒部川源流コースを取ることにしました。鷲羽岳は以前に登っているので三俣山荘の裾野から見上げて出発しました。テン場を流れる小さな川伝いにゴロゴロとした岩場を下って行きます。テン場に荷物をデポしていますので荷物も軽く足取りも軽いです。「あ~、いつもこれくらいの荷物だとみんなの様に早く歩けるんだけどなぁ~」と話しつつ早くも「黒部川源流の碑」まで降りてきました。踏み跡はあるものの標識らしき物は何もありません。時々地図を出したり、コンパスを出したりしながらコースが間違っていないか確認しました。登山者にはひとりも出会っていません。踏み跡を頼りに登り詰めて行くと、やっと中年のおじさん3人組と出合いました。リュックをワリモ北分岐にデポして頂上を踏んだとの事です。 
 岩苔乗越を目指している途中、振り返れば祖父岳が聳えていました
苔がきれいな道でした
だんだん頂上が近くなっていきます 
水晶岳頂上
曲がりくねった登山道を登ったり、降りたりしながら、高く尖った岩の上に人影を見つけました。「あっ!あれが頂上みたいやね!」岩場とくれば元気が出て自然と足早になっていました。「気を付けろよ!油断すなよ!」「わかってるって~!」出発してから3時間少しで到着しました。「おはようございます」頂上にいた徳島県から来たと言う青年と声を交わしました。「山頂を独り占めしているところをお邪魔しますね」互いに目的を果たした仲間意識なのでしょうか、とても親しみを覚えました。記念写真を撮らして貰い、これから双六小屋まで戻るため早々と山頂を後にしました。 
 水晶岳から北へ延びる岩稜帯 奥は赤牛岳
下から見上げると徳島の青年が手を振ってくれていました。しばらくすると団体と思われる登山者がリュックを背負わずに登ってきました。ワリモ北分岐にリュックをデポして上がっていたらしくたくさんのリュックが置かれていました。中には標識を覆うように残置しているものもありました。「それでなくても標識の少ない山なのにね」休憩したり荷物を置いたりするときは後から来る登山者が迷ったりしないように標識を隠さないでほしいものです。
水晶小屋でちょっといっぷく ワリモ北分岐にデポしてあるザック
岩苔乗越まで帰ってきました ここから黒部源流域まで下ります
三俣山荘の階上レストランはこっち?…ちゃうそれは屋根に上る梯子や…レストランは後ろの階段や…オムライス美味しかった
 もと来た道を快適に降りていると外人のカップルが追いついたり、追いつかれたりと同じ速度で双六小屋まで帰っていきました。私達はテントを撤収し、その外人さんはテントを張り小屋に行きオムライスを食べました。ランチタイムは宿泊者だけでなく一般登山者にも食事の提供をしてくれました。受付へ行き注文をすると「外階段の2階に食堂があります」と言われ食堂へ行くべく「えっらい急な階段やなぁ~」と登ろうとすると「アホッ!それはハシゴやろっ!階段は向うや」そうか、そうか・・・オムライス美味しかったなぁ!
さあテントを撤収したしオムライスも食べたし巻道を双六小屋まで頑張ろうか
あーあーあー疲れたワ 石のベッドで一休み 此処までくればあと15分 ウッチー会長に電話するけど圏外!
オムライスを食べて気合が入ったところで「双六小屋まで急ごう!ウッチー会長が待ってるぞ」雪渓を登るのですが背中の荷物が重すぎて上手く進みません。みかねたジョンが少し荷物を取ってくれました。その後はゆっくりではありましたが確実な足運びを意識して歩くことができました。ゴロゴロと雷の音がしています。そういえば昨日の同じ時間にも雷がなっていました。「小屋に着くまで降らなければいいね」双六峠の看板が見えました。下に小屋も見えています。「あと10分ってとこやなっ」そういってるところに大粒の雨がポツリと落ちてきました。「合羽着る?」「いや、このまま急ごう」そういい終わるか終らないかのうちに、ものすごい勢いで大粒の雨が降り始めました。雨が痛いです。よく見るとヒョウ混じりの雨でした。「あと5分だっのになぁ!」今合羽を取り出して着ても大汗かいて濡れている状態なので濡れながら歩いていると後ろから「雨具つけてくださいよ低体温症になりますよ」と声を掛けてくれた人がいました。富山大学医学部の方で双六小屋に駐在しているのだそうです。 
どうにかテントを張って眠れます 
大雨でみるみるうちに双六小屋の前は水たまりができました。とにかく小屋に逃げ込まないと・・・ウッチー会長は既に到着しているはずなのですが携帯は圏外で連絡がとれません。とにかく見たこともないような大振りの雨です。それでもジョンは「テント張ってくるわ」「もうちょっと待ったら止むよ」「いや、もっとひどい雨の中でテント張りしたことがある。小屋で待ってて」何と力強い言葉でしょうか。私が小屋で待っている間にウッチー会長と合流できて二人で無事テント張りを完了しました。ごくろうさま。その頃には雨も止み小屋から宿泊者も出てきて景色を楽しんでいました。ウッチー会長秘蔵の焼酎とレーションを持ちよりテントの中でささやかな酒盛りを始めました。明日は笠ケ岳です。体力回復しておかないとたどり着かないかもしれません。早めに食事をして早目に寝ようと話がまとまり「少し時間が早いけれど夕食にしよう」と小屋に行きカレーライス、牛丼を美味しく頂きました。夜空の星は降るように美しい。
文:美智子姫