中央アルプス・恵那山を訪ねて
「気心知れた昔の仲間と愉快に登ります」
恵那山パーティの編成は、年賀状に「近くの山に連れてって!」と書いてくださっていたことから再び山行を共にするきっかけとなった「やまたび倶楽部」の仲間たちと一緒です。
雪の季節には赤坂山へのスノーシューに出かけたり、六甲山や箕面山、など誘い合って都合のつく日にふらりと出かけていました。今までの様に倶楽部主催ではなく個人でパーティを組んでもお互いが気楽に楽しむことが出来ます。「やまたび倶楽部」時代に教わった厳しい山のルールも各自、身についています。

午前8時00分、空は限りなく鉛色です。junkoちゃんとJR海老江駅で合流し、靖ちゃんは名神高速・深草で合流です。最初のドライバーは姫、養老SAでジョンと交代しました。
小牧インターJCTで中央自動車道に移り恵那峡サービスエリアで早めの昼食を摂り「中津川インター」で出ます。そこから国道19号、県道7号と乗継ぎ神坂峠への林道を走ります。
驚いたのは、「しばらく山登りしていないのよ~」と言いながらも、ジムに通ったり、ヨガに通ったりと鍛錬を続けているので体力は衰えを知らず、やまたび倶楽部解散時の体力維持、いいえいいえ更にパワーアップしている感じを受けました。
体力に自信がつくと「アルプスにも行きたいね」と話に花が咲き「では、まずは恵那山へ」と言うことになった次第です。
ゆっくり前夜発で出かけて登山口にある「萬岳荘」に宿泊することにしました。「萬岳荘」は、山小屋と言うかロッジと言うか素泊まり旅館です。「萬岳荘」は樹木の茂みの中に設営された阿智村と中津川市とが共同で管理・運営している小屋です。食材を持ち込み自分たちで調理をし、翌朝早くに登り始めます。
恵那山への登山に要する時間は(標準時間)往路4時間50分、復路4時間の合計8時間50分のコースです。
と言うことは我々はこれに1.5倍を掛けて登ります。「慌てず急がず、確実に」が我々のモットーなのです。
夜明けとともに出発すれば午後3時か4時にはゴールできるのではないでしょうか。
 富士見台一帯は、かつては牛馬の放牧場だったようです
 いかの燻製とサラサアマゴいただきました                燻製室 かんぱーい
中津川で「夫婦岩」にちょっと寄り道 (詳しくは下欄のバナーをクリックしてください)
その興奮冷めやらぬうちに九十九折れの林道大谷霧ヶ原線を走り、宿泊先の萬岳荘に到着しました。チェックインの時間には少し早いのですが挨拶に伺うと「どうぞ!どうぞ!」と歓迎してくれました。2階が台所と食事場所、部屋は3階などの館内の案内を受け、まずは部屋に落ち着くことにしました。この日はもう一組管理人さんのお友達グループである御在所・日向小屋の親父さんとそのご一行様が(15人ほど)が来るので騒がしいかも知れませんがと言われたので「人数では負けていますが騒音ではこちらも負けていませんので、どうぞお気兼ねなく!」と会話を交わしました。ついでに心も通い合わせました。
部屋はとても広くて寒いです。部屋の真ん中に毛布を2枚敷き、絨毯代わりにして車座に座りました。「寒いね、ダウン持ってくれば良かったわ~」そういいながら荷物の整理をし食材を持って2階へと移動しました。部屋にはストーブが置いてあります。junkoちゃんが管理人さんに「ストーブ使ってもいいですか?」
管理人さんが応える前に、すかさず身内から「別料金頂きま~す」の声に大爆笑しました。

大阪から枝豆を湯がき、イタドリを調理し(出ましたっ!イタドリっ!)カレーライスも焚いてきていますのでご飯を炊くだけです。明日の朝食用と昼飯のおにぎりと1升飯を炊くことにしました。しばらくするとドヤドヤと団体さんの到着です。ビールのサーバーや食材を山の様に運び込み賑やかになりました。私達のテーブルに管理人さんからキャンドルサービスまでして頂き美味しい食卓を囲むことができました。
管理人さんにイタドリをおすそ分けすると珍しい手作りの「さらさアマゴ」の燻製を頂きました。「海老で鯛を釣ると言うよりも雑魚で鯛を釣ったみたいやね」自炊室は大賑わいとなりおすそ分けをあげたり、頂いたり、と食の交換が大々的に始まりました。「イタドリとは懐かしい!」と言うので出身地を聞くとなんと高知県人でした。
私達は翌日の早朝登山が待っているため早々に部屋に引き上げましたが午後9時の消灯を過ぎてもまだ宴会は延々と続いていたみたいです。山男たちは酒好きが多いですね。
萬岳荘の赤井管理人さんと ひめ 鈴鹿からお越しの管理人さんのお友達
タイムスケジュール 
  神坂峠駐車場  05:20
 鳥越峠 06:20
 大判山   07:20
07:30
 天狗ナギ 08:30
 前宮コース合流点  09:55
 恵那山頂上  11:00
11:30
 前宮コース合流点 11:55
 天狗ナギ 12:50
 大判山  13:45
 鳥越峠  14:40
 神坂峠駐車場 15:40
標準タイム往路
4時間50分(我々は5時間40分) 
標準タイム復路
3時間40分(我々は4時間10分) 
恵那山(2189.1m)は長野県と岐阜県にまたがる中央アルプスの最南端の山です。
濃尾平野の広範囲の地域から、その大きな櫛形の山容を望むことができる美濃の最高峰です。山頂の最高点の南東には、一等三角点、展望台、恵那神社奥宮本社があります。
山頂展望台は、周囲にトウヒやコメツガなどの背が高い針葉樹林があるため、展望はあまり良くないのですが、恵那山頂避難小屋の裏の岩場からは、北アルプス、中央アルプス、南アルプス、富士山などの展望が得られます。北山麓には中山道の馬籠宿と妻籠宿があり、馬籠で生まれ育った島崎藤村が幼少時代に眺めていた山でもあります。
『夜明け前』では『木曽路はすべて山の中である。あるところは岨(ソバ)づたいに行く崖の道であり、あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、あるところは山の尾をめぐる谷の入り口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。』と描かれています。恵那山(2189.1m)は長野県と岐阜県にまたがる中央アルプスの最南端の山です。
濃尾平野の広範囲の地域から、その大きな櫛形の山容を望むことができる美濃の最高峰です。山頂の最高点の南東には、一等三角点、展望台、恵那神社奥宮本社があります。
山頂展望台は、周囲にトウヒやコメツガなどの背が高い針葉樹林があるため、展望はあまり良くないのですが、恵那山頂避難小屋の裏の岩場からは、北アルプス、中央アルプス、南アルプス、富士山などの展望が得られます。北山麓には中山道の馬籠宿と妻籠宿があり、馬籠で生まれ育った島崎藤村が幼少時代に眺めていた山でもあります。
神坂峠登山口から神坂ルートを登ります
恵那山登山は「黒井沢ルート」、「神坂峠ルート」、「最短コースの広河原ルート」、「健脚向きと言われる前宮ルート」がありますがコースによっては「通行止め」となっています。
●広河原ルート⇒落石により通行止めになっていましたが、6月12日より通行可能になりました。
●黒井沢ルート⇒ 路側構造物修繕工事のため通行止め(平成27年4月1日~平成27年8月10日)
●前宮ルート⇒正ヶ根(しょうがね)林道の舗装工事のため通行止め(平成27年10月20日まで)
●神坂峠ルート⇒通行可能
私達は「萬岳荘」に宿泊しますので「神坂峠ルート」を選択することにしました。
前日はシトシト小雨が降り続いており管理人さんから「2時間ほどのところにある大判山まで登り、天候が悪ければ行くか戻るか判断するように」とアドバイスを受けました。ラッキーなことに翌朝は雨が上がっていました。

前日の雨の置き土産で、雲海がとても素晴らしく、見事なピンクの笹ユリとも出合えてみんなの足取りも快調の様子です。標高を上げるごとに視界がなくなってきました。
しかし広河原、黒井沢、前宮、神坂峠の4ルートある中では私達が登る神坂峠ルートが唯一眺望がいいらしいです。雲海の切れ間からは御岳山もくっきりと見えました。ショウジョバカマ、サラサドウダンの白とピンクも美しく花博士の靖ちゃんとjunkoちゃんは大喜びです。
ササユリ…此の辺りに群生しているササユリはピンク色をしているのが特徴です

銀竜草(ギンリョウソウ)は腐生植物で、土壌の中の菌から栄養をもらって生息しています。
光合成をしないため全身白色で別名、幽霊茸(ユウレイタケ)と呼ばれているようです。

御嶽山 笠置山
中津川方面に浮かぶ雲海
 後方が恵那山です  
大きく崩壊したウバナギはいずれは山がなくなってしまうのではと思うほどにえぐれていました。
大判山の頂上ですちょっくら一休みです
 天狗ナギ 前宮ルートの分岐 
天狗ナギからの急登が終わると前宮コースの合流点です。ここで前宮コースを登ってこられた中年のソロの男性と出会いました。
「山頂はこちらですか?」そう私達に訪ねると急ぎ足で山頂に向かって行かれました。
ところどころに小さな祠が点在しています。大きな屋根が見えてきました。岩に赤ペンキでしるしが掛かれていて樹木には道標のリボンも付いており、導かれるように進んで行きましたが山頂ではないらしく引き返しました。後でわかったのですがあのまま岩に出ると360度の大パノラマが待っていたみたいです恵那山の最高点のようです。。しかし鉛色の空からはポツポツと小雨が落ちてきて眺望は期待できそうもありません。「とにかく頂上を踏もう!」避難小屋を通り過ぎて10分ほどで写真で見たことのあるバス停のような山頂標識が見えました。櫓もあります。一等三角点もあります。山頂に到着です。
山頂からの展望は樹林に遮られて見えませんでしたが、見えなくてもいいのです。達成感で感動いっぱいなのです。櫓の上に登り記念撮影を済ませました。
 恵那山の最高点と思われます  恵那山頂上避難小屋
ひめ&やっちゃん JON Jyunkoちゃん 避難小屋のお部屋
避難小屋で食事をすることにしました。中には老夫婦1組、若者1組が食事をしていました。ドアを開けるともう一部屋ありそこには前宮分岐で出会った人が休んでいました。山頂目前にして体力が尽き果て、山頂を踏まずに下山するのだそうです。私達が食事を終えて出発するころには老夫婦も若者も出発した後でした。「お先に~」って、声掛けて欲しかったなぁ。

雨が降ってきたので雨具を着け、下山には細心の注意を払い、滑らぬようにと互いに気合を掛け合い下って行きました。前宮ルートの分岐を過ぎ30分ほど下ったところで、名古屋から来たと言う私達よりも高齢と思える5人組が登ってきました。見ると合羽も着ずに傘をさしています。異様な風景でした。只今の時間は12時30分。しかも今から登るなんて・・・ここから頂上を踏んで此処まで戻ってくるには2時間30分から3時間はかかるでしょう。下山後名古屋まで戻られるようです。ちょっと心配。
前宮ルートの分岐まで帰ってきました 大判山まで帰ってきました 鳥越峠まで帰ってきました
 神坂峠ゴーーーーーールです よく頑張りました
決して強がりではありませんが太陽が出ていたら暑さにやられてバテていたかも知れません。ミストの雨に助けられた気もします。ゴールを午後3時と設定していましたので、ほぼ予定通り下山できたことになります。雨だか汗だかわかりませんがパンツまで濡れています。合羽を脱ぎ3分ほど後戻りして宿泊先だった「萬岳荘」の管理人さんに下山報告に伺いましたが麓に降りられた様子で留守でした。駐車場の軒下を借り、身支度を整え風呂の用意をし、帰り道にある「クアリゾート湯舟沢」で濡れた身体を温め、かいた汗を流し途中でトイレ休憩を取りながら靖ちゃんを自宅まで送り、junkoちゃんを送り自宅に帰ると日付が変わりかけていました。
雨合羽やスパッツ、リュックなどを風呂の浴槽に浸けてベットに入った時には午前2時を過ぎていました。眠いはずなのですが目がさえてなかなか眠れそうもありません。恵那山であった出来事を回想しながらいつの間にか深い眠りについていました。
 今回の教訓です。
「ザックカバーを過信するな」

ザックカバーはパラパラ雨には効果的かもしれませんが降り続く雨には効果薄です。リュックの中はビニールで覆うか濡れない素材のカバーで保護する必要があります。濡れてなかったのはヘッドライトだけです。なぜならば二重、三重にナイロンで保護していたからです。

雨合羽とて同じです。パンツまで濡れていました。汗なのか雨がしみ込んだのか不明ですが、とにかく雨が浸透していました。
登山靴とて同じです。登山道は流れる小川と化していました。最初はよけて歩きましたが途中から避けることが面倒になり靴のままジャボジャボ・・・

登山靴の中も濡れていました。スパッツの工夫にもあるようです。合羽のズボンが汚れないためにスパッツはするのではなく、靴の中に雨が入らないためにするのです。
今回、靴の中が濡れてない人を見るとスパッツをして、その上に合羽のズボンを履いていました。次回試してみようと思っています。
文:美智子姫