2014
「限りなく青い空、白銀の世界に照りつける太陽、今回の武奈ヶ岳はサイコー!」
夜明けの名神高速道路 葛川市民センター
いままで武奈ヶ岳に出かける時は、きまって「明日は天気が良さそうやし武奈ヶ岳にいこか?!」といつも突然に決めることが多いです。悪天候の武奈ヶ岳は楽しさよりもつらさだけが大きくて良いイメージが残りません。天気だと思い、出かけても途中で吹雪に遭い御殿山から引き返したこともありました。山の天気は変わりやすい〜!
今日のお伴は「Fit」午前6時此花を出発です。ヘッドライトを照らしながら名神を通行していると「事故による渋滞4キロ」と出ています。アッチャー!。大山崎あたりで事故車両が行く手を塞ぎ、せっかく夜の明けぬ間に出発したのに・・・と文句を言いながらノロノロと走行するしかありませんでした午前8時坊村到着。
明王院の門前に駐車場があるのですが、ここは参詣者のための駐車場と心得、10年くらいこの駐車場は利用していません。安曇川に架かる曙橋を渡り広い駐車場に停めます。
06:00  大阪・此花区発
08:00  坊村・曙橋駐車場
08:25
08:30  明王院前 
09:50  846m休憩ポイント
11:15  御殿山
11:25
12:15  武奈ヶ岳山頂
12:25
13:00  御殿山
13:10  イオウハゲ 昼食 
13:30
15:00  坊村・曙橋駐車場
15:30
18:00  大阪・此花区着
すると敷地内にある○○センターに勤めるおばさんがやって来て「登山者はセンターの前に止めないでくれ」と言われました。30台以上は駐車できるスペースがあり「じゃあどこならいいのですか?」と聞くと隅の方ならば良いとのこと。Fitも一番端っこに停めてたんだけどなぁ。建物の出入口辺りには充分駐車出来るのになあ・・・車を移動するのは簡単なことです。車を抜いた直後、後から来た登山者の車が同じ場所に停車、それには何も言っていませんでした。ムカッ!。
また停めないように「登山者車両駐禁」の立て看板でもすればいいのに!と出発前にちょっと不愉快な気分になりました。

登山の準備を整え、明王院の境内にある登山口へと向います。通過するとき横目で見ると明王院の駐車場には他府県の多くの車が停まっていました。車両の間でコンロを使っているグループ、地主神社鳥居の前の石段をふさぐように停めているマナーの悪い駐車車両もありました。明王院の本堂・護摩堂・庵室・政所表門などは重要文化財になっており、この辺りは火気厳禁ですヨ。
明王院の境内の北側に武奈ヶ岳への登山口があります。
武奈ヶ岳(1214.4b)は琵琶湖西部に連なる比良山系の最高峰で関西でも人気の山です。急に暖かくなったとは言え外気温度は4度と表示されており、道路こそ積雪はありませんが、屋根の上、田圃の中にはまだまだ雪が積もり春の訪れが遅そうです。
葛川・明王院にかかる赤い欄干の 「三宝橋」 を渡り登山口へと向かいます。橋の上はガンガンに凍っていて下手に足を置いては滑ってしまいますが、古刹の参道の自然石で組み上げた立派な石段をアイゼンの歯でガツガツ傷つけていはいけないので、ここでアイゼンを装着せず、おそるおそる渡ります。
境内を抜けた北側に登山口があります。ここでアイゼンを装着。
2月14日と15日にドカ雪が降り、その後多くの登山者か踏みしめているため硬く締まり登山道はアイスバーンと化しています。アイゼンを正しく使わないとスケート場の様に滑ってしまいます。登山口から慎重に登っていくこととなりました。出発時から「今日は天気が良すぎて暑そう」と予想がついたため薄着で出発しましたので衣類調整もなく、杉林やブナ林の九十九折れの急登を黙々と登りつめていきました。
高度が上がってくると霧氷が期待されましたが「霧氷は無氷」で、枝にボタ雪がところどころに残っているだけで時々「ボタッ」と音を立てて落ちてきます。「おっと〜!」と当たらぬように交わしながら、やっとコルに到着です。「休憩しよう」初めての休憩です。ここで下山者と出会いましたが挨拶も交わすことなく降りていかれました。
 杉の木立の中の急登は堪えます  御殿山からみる打見山は綺麗でした
御殿山から見た西南稜から続く武奈ヶ岳 
コルからは、かなり狭い道になっており雪が溶け転倒すると泥まみれになりそうです。「気を抜かずに行こう!ゆっくり、もっと歩幅を小さく、今日の
姫の速度は速いぞ!」
と注意を受けました。今日はポッチーが不参加のため後ろを気にせずに歩くため少し速足になったみたいです。このしわ寄せはすぐにやって来ました。太腿の後ろが思うように動かなくなり「御殿山についたらアミノバイタルとツムラ68飲もうっと!」と大きな声の独り言を言いました。気づかぬうちに速度が早かったため疲れがピークに到達した様です。

御殿山近くで風を避けて昼食を準備している若者がいました。武奈ヶ岳の上は風が強く御殿山まで戻ってお昼の様です。時間は11時、武奈ヶ岳まであと1時間で行けると判断しました。後ろにひょっこりと70歳ぐらいのソロの男性が立っており武奈ヶ岳までのコースはきついのか、時間はどのくらいかかるのかと聞いてこられました。明王堂の登山口を午前6時に出発したそうです。ヒャーッ!時間かかりすぎ〜!御殿山まで5時間もかかっています。大丈夫かなぁ?「お先に」と声をかけて私達は武奈ヶ岳頂上に向かいました。
ワサビ峠から見上げる武奈ヶ岳方面 
ワサビ峠の雪の深さ…1m以上はありますね 怖い!…雪庇の下に空洞が…誰か踏み抜いたのかな
中峠の向こうに堂満岳 遠くに打見山 京都北山方面
御殿山でサプリメントを補給したからか、わさび峠を快適に進んで行きました。(そんなに早く効果が出るかいなっ!)わさび峠から見上げる西南稜はキラキラと太陽に照らされて、とても綺麗で印象的でした。つらい登りを耐えたご褒美なのでしょうか。西南稜の美しい曲線や幻想的な雪庇の写真を撮りまくりなかなか頂上に到着できませんでした。やっと頂上の看板が目に入りました。 
 武奈ヶ岳・西南稜の核心部です…ここを歩きたいために急な御殿山ルートを登ってきます
これから最後のひと登りです
山頂標識が見えてきました
到着です。「デンの記撮影会」も済ませ看板についたエビのシッポに感嘆の声を上げていると風の無い場所で昼食中のおじさんが笑ってこっちを向いていました。(頂上は私達だけかと思っていたんです〜)頂上からは北に釣瓶岳、南に打見山、蓬莱山、東にはカラ岳、釈迦岳、鈴ケ岳に八雲ケ原スキー場跡もくっきり見えていました。最高の景色を満喫しました。天気が良いとは言え頂上の風の中で昼食を摂る気にはなりませんので御殿山まで下ってから食べようと下山をはじめました。すると20人くらいの団体が2組登ってきました。「良い間に頂上を占領してたね」
尻ソリで下っている途中で朝6時から登っていると言うおじさんと出会いました。10歩歩いては休み、また10歩歩いては休んでいます。「あと20分ほどで頂上ですよ。頑張って下さい」と声援を送りましたが、無事明るいうちに下山出来たのでしょうか。
あわてず、急がず…ローリングステップ…御殿山への上り返しです  ちょっと休憩
昼食場所で見つけた奇形の木。まるで冬眠から覚めた蛇のようです…びっくり。

下り道は、ほぼ尻ソリで時間短縮です。御殿山から更に下り風除けのある場所を見つけ遅めの昼食を摂りました。サプリメントが今度こそ効いて快適にかなりの速度で下っていきました。気合いを入れてアイゼンをきちっと効かせないと、どこまでも転がっていきそうです。
←笑って誤魔化すJON
明王堂の屋根が見えてきた頃、後ろから若者の元気な足音が聞こえてきました。
「お先にどうぞ」と山側に身体を交わしたまでは良かったのですが上から大きな岩の様な塊が私の背かなに覆いかぶさりました。「あっ!」若者二人が「大丈夫ですか?」と駆け寄ってきてくれました。何が何だかわかりません。よく見るとジョンが降ってきたのです。
JON曰く
「2歩雪の中に踏み込んで登山道をあけ、若者に通過してもらって元に戻ろうとしたとき木の根にアイゼンがひっかかってバランス崩し、ストックに頼ろうとして力を入れたときストックが緩んで短くなり、姫の肩にすがろうとしたら姫がこけたためオイラも一緒にコケたんだい」

私のリュックを持ち私もこけてしまったのです。「こんな時にピッケルで頭や顔を怪我するんです!だから我々はヘルメットをかぶっているんですよ」と照れ隠しなのか必死でジョンは若者に説明しています。
「記念写真撮りましょうか?」何とジョークのわかる若者なのでしょう(笑) 
それがこの一枚です。
杉木立の中の九十九折の小道を下って、明王院の境内に入りました。朝アイゼンを付けた場所にゴールです。
境内の自然石の階段をアイゼンの歯で傷つけてはいけないのでここでアイゼンを外します。

午後3時丁度。私達にとってはベストタイムです。駐車場で帰り支度を整え「ジョンの大好きな栃餅買いに朽木村に寄るの?」と聞きましたが今回はいいらしいです。さっきの転倒が堪えてるのかな?(笑)
雪山は天気さえよければ夏山よりも歩きやすくショートカットされた冬道を楽しむことができます。4本爪アイゼンの人も多く登っていましたがアイスバ
ーンの登山道ではちょっとつらいのではないでしょうか。イオウハゲあたりは、細くて危険な個所もありました。
合羽もツエルトもロープも救急セットも必要のない、安全・安心な楽しい山行でした。ジョンが降ってきたけどネ。
三宝橋を渡って明王院を後にしました楽しかったなあ
写真と文:美智子姫