2014
寒いー、風がきつーい、霧氷が少なー、でもめっちゃ?綺麗い…!
三峰山(1235.4m )は、奈良県宇陀郡の南東端に位置し、山頂に平坦で広大な高原を持つ山で、冬山登山のメッカのひとつで、冬の青空をバックに真っ白に輝く霧氷のトンネルの下を行くと、その清々しさは登山者でないと判らないクリスタルな世界が広がります。
野生の鹿と出合うことも珍しくないそうです。山頂から三重県側に少し下ったところにある、なだらかな鞍部を八丁平といい、その名のとおり広々と開けて、彼方には大台の峰峰も遠望できます。
「混雑時期の山は嫌!」を口癖としていましたが、赤く山が染まるツツジの葛城山を訪ねてから「混雑は嫌だけどさすがっ!」と思うようになりました。混雑していても、その山々の持つ魅力を訪ねようと今回の三峰山を強引に企画しました。
野田阪神もまだ真っ暗 始発の上本町駅 急行宇治山田行きに乗車 近鉄電車の車内
午前6時、地下鉄野田阪神で合流し谷町9丁目から近鉄電車に移動します。本日の参加者である同期の桜の正ちゃんは鶴橋から電車内で合流することになっています。一服剱君は前夜に緊急の仕事が入り急遽出勤となりました。本来の目的は「雪訓」でしたのでとても残念です。何よりもスノーバスケットを購入し荷詰めまでしていた本人が仕事とは言え一番ショックだったと思います。
「そう言えばpart1」
剱岳登山で大阪を出発し、いざ登山開始と言うときにメンバーの携帯が鳴りました。老人会の方が死亡した連絡だったのです。聞いた以上は、いまから帰ると言いだしたことがありました。その人は町会の役員をしておりそれも仕方ないかとは思い見送りましたが連絡が付かないのも手段のひとつです。連絡がつかなければ残された人達で何とかするはずです。登山中は「見ざる言わざる、聞かざる」で携帯は「off」にして楽したいですね!
「そう言えばpart2」
ウオーキング協会で尾瀬に行ったときのことです。全ての行事を済ませ最後の食事(宴会も含む)をしている時にジョンの携帯が鳴りました。私に電話を掛けているが連絡が取れない。祖父(ポッチーの父)が急死したことを告げてほしいと言う息子からの電話でした。舞台の上で参加者に笑顔を振りまいていた姫をみて今告げるのは酷だと判断し帰りのバスの中でそのことを教えてくれました。私達の会話を聞いていたドライバーさんが制限速度ギリギリに走り続けて下さり大阪到着が1時間も早まったこともありました。

上本町駅7時15分の急行『宇治山田』行きに乗り鶴橋で正ちゃんとも合流し、車内では久しぶりの再会に近況を報告し合いました。
正ちゃんは、朝3時に兵庫県丹波市にある氷上工場を出発したのだそうです。相変わらず元気そうで安心しました。

 09:50  みつえ村青少年旅行村
 10:40  休憩小屋
 12:00  頂上(風を避けて昼食)
 12:10 
 13:35  新道峠
 14:10  林道合流点
 14:50  みつえ村青少年旅行村
 15:00  バス乗車
車内は満席 車内で登山届に記入 御杖村に到着 早速準備開始です
近鉄榛原駅に到着すると想像通りでドッと登山客が駆け下りてバス停に向かいました。「ほらっ言わんこっちゃない!」と責められそうですがドンマイ、ドンマイです。バス停近くで切符を販売しており列が出来ています。ポッチーとジョンはすでにバスの中はいりました。
私と正ちゃんは出遅れてしまい2台目のバスに乗れと指示がでましたがドライバーさんが列に向かって「カワグチさんいますか?お連れ様が呼んでいます。このバスに乗って下さい」と呼び出してくれたので列を掻き分けて同じバスに乗ることができました。(ICOKAカードで乗ると切符を買う列に並ばずに済み便利ですよ)
出発前日によく冷え込んでいましたので美しい霧氷を期待しながら、この時期だけ運行している「霧氷バス」に1時間余り揺られ「みつえ村青少年旅行村」で下車しここからいよいよ登山開始となります。村人たちの温かい出迎えもうれしいですね。
バスのタイヤにチェーン 足元はアイゼン 一生懸命準備中

今日の参加者はジョン、ポッチー、同期の桜の正ちゃん、姫の4人です。バスを降りた人達は早々に出発したのか私達が最後になってしまった様です。
気を抜くことなく安全に行こうと気合いを入れました。粉雪が絶え間なく降り続いていて太陽は時々忘れたみたいに顔を出したり引っ込めたり。
杉の美林の中を快適に登って行きます。アップダウンがあり、なかなか歩きごたえのあるコースの様です。時々登山道で休憩している人を見かけますが私達が近づくと慌てて出発をしたり、そうかと思えば休憩中なので「お先に」と声をかけ進んで行くとすぐ後ろにピタリとくっついてきたりなかなか勉強になりますワン!(吠える〜)
 登尾ルートと林道が交差する場所にある休憩小屋  三峰山方面は吹雪いている様子
小屋前でちょっと休憩 さあ頂上を目指して 三畝山林展望台
1時間たらず歩き、尾根の上に出ると、りっぱな休憩小屋が見えてきました。中を覗くと多くの人が休憩をしておられました。ここで少し休憩をとり、三畝峠へと歩をすすめます。
途中山小屋への分岐を過ぎ不動滝ルートと合流する辺りから登山者の数が倍になったように感じます。
三畝峠を越えたあたりからぼちぼち霧氷が見えてきました。
「今日の霧氷の付きは悪いなぁ」とジョンは言いますが、なかなかどうして美しいです。時折ゴオーッと言う音を立てて強風が走ります。風が息を止めた時に進み、息を始めると耐風姿勢で風の弱くなるのを待ちました。
やがて人の声が聞こえてきて頂上が近いことを悟ることができました。
「着いたよ!」そう叫ぶ声も強風にかき消されてしまいました。やっとのことで記念写真をとり八丁平方面にすすみ、風除けできる場所で立ったまんま暖かいスープをすすりました。
持ってくるのは重たいけれどやっぱり暖かいスープは体がぬくもっていいよね。
寒さに耐えきれず10分ほどで下山準備をし往路を引き返さずに復路は新道峠にでるコースを選びました。
中学生と思われる40人程の男子が先生に連れられて私達を追い越していきました。口ぐちに「コンニチワ」と元気よく挨拶をしていきました。しばらくするとその団体が立ち止まって先生の話に耳を傾けていました。
 気になるのが姫・・・早速、登山道を走りました。
「どうしたの?」と聞くと「怒られてるんです」益々気になります。私も生徒の一人の様な顔をして列に身体を突っ込みました。「お前ら!アホかっ!何で霧氷を落とすねん!遠くからしんどい思いをしてこれを見に登ってきてるんやないかっ!」どうも生徒たちがストックで霧氷を叩き落しながら下山している姿をアンカーの先生が見つけたようです(そらその通りやなぁ。でも先生!登る前にその説明してあげましたか?)心の中でそう言いながら、はるか前を歩く仲間に追いつこうと小走りに雪道を駆けていきました。
jon ぽっちー ひ め 正ちゃん
あったかーいハルサメスープ…美味しかったなあ
八丁平は猛烈に吹雪いていました。頬を叩いていく強風は冷たいというよりは痛いと言う感じ。
雪面を雪煙が走っていきます。ピッケルを使った台風姿勢までは必要としませんが何度と無くストックに頼る状態を繰り返します。
このルートに入ってくる登山者は少ないようでトレースの付き方も浅く、強風によって消されてしまいます。

空が限りなく蒼く、風も無い状態であればゆっくりと景色を楽しみたいところです。


←八丁平
   ↓
新道峠コースは長くいうえにアップダウンが数回ありいくつかのピークを踏みます。そして下りに入ると、九十九折れが続き大変ですが1時間遅れでやってくるバス2台(ざっと80人)を交わすには快適なコースです。想像していた通り登ってくる人はほとんどありませんでした。 
豆大福、よもぎ大福、白い大福…これぞ雪見だいふく…だい。 新道ルートを降ります
今日のジョンは山肌にストックをぶち付ける事件もなく、正ちゃんとおだやかに歩いています。ポッチーも何故か元気です。2時間ほど歩いて林道に出た頃には「おっ3時のバスに間に合うかも知れんなぁ」と言いながら林道を下るのですがこれがまた長いこと〜アスファルト歩きになると何故か姫がスピードダウンしてしまいました。その代わりポッチーと正ちゃんは、どんどこどんどこ速足で下って行きます。しばらく歩いていると雪の上にカメラが落ちていました。「かわいそうに今日の霧氷を沢山撮っただろうに。まぁ村の人に預けておけばいいか」と思ってポケットにいれました。すると少し先を歩いていたジョンが戻ってきました。「カメラ落としてもうた〜」おいおい落とし主はうちのメンバーやったんかい! 
林道歩きは足にきますね 村人のお見送りを受けながら帰路に着きます
みつえ青少年旅行村でアイゼンをはずしていると子供達が寄って来て「アンケードに協力して下さい」バスが待っていて気が急くのですが子供達の一生懸命さに負けてアンケートに記入し何か意見があればという事でしたので「霧氷の時期だけバスを平日も走らせてほしいです」と応えてバスに乗りました。寒いにもかかわらず「また来てね!」の横断幕を持ち見送ってくれる子供達の姿は心温まるものがありました。午後3時のバスは1台目は満席で出発し、2台目は空席も多くゆったりとバスの中で合羽を脱いだり、スパッツを外したり身支度を整えることができました。
帰路は御杖村を出た辺りから路面に雪が無くなりタイヤチェーンを外しました。
しばらく走った頃ドライバーさんが「タイヤーチェーンを外しますのでしばらくお待ちください」とバスから降りていきました。間髪入れずに「写真撮ってくるわ」と姫がバスをおりドライバーさんに交渉「顔はうつさんといてや〜!」と言いながらなぜかカメラ目線。いい写真が撮れました。「写真は少々強引にシャッターを押すべし。そうすればエエ写真が撮れる。オイラはようせんけどな」そんな会話をしているうちに榛原駅に到着しました。
バスと急行電車はうまくジョイントできている様でスムーズに乗ることができて、おまけに座って帰ることができました。正ちゃんは鶴橋で下車し自宅に帰りそののちに車で氷上工場に帰るらしく「一杯飲み」はお預けで、後日改めてすることにして別れました。今回は移動手段こそあわただしくて混雑はしていたものの自然の織り成す霧氷の美しさを堪能することができました。春は白ツツジも美しいそうです。村の人達の作る特産物を多くの登山者達が購入しお互いが共存でき、自然破壊をしないように気を付けていつまでも美しい「みつえ村」であり続けてほしいと思っています。
  教 訓
 @日焼け止めクリームは必携
 A泥のついたアイゼンを入れるビニール袋はアイゼン袋にいれておく
 B八ヶ岳などの高山ではアイゼンとストック(スノーバスケット付)を併用
 C各自お湯ポット、コップは必携
  一口メモ
 ●霧氷とは
霧氷は、氷点下の環境で樹木に付着して発達する、白色や半透明で結晶構造が顕著な氷層の総称。過冷却にある霧(着氷性の霧)によるものと、空気中の水蒸気の昇華によるものがある。

 ●樹氷とは
樹氷は過冷却雲粒が冷たい樹木や地物につぎつぎに衝突し,瞬間的に凍り,たくさんの氷の粒からなる白色不透明の氷で,あられのでき方と同じと考えてよい。
一般に根元が細く扇形のもろい氷なので,その形から「えびのしっぽ」などとよばれることもある
順調には歩いていましたが頂上直下での強風にあおられ参りました。八ヶ岳行きのテストを受けている気がしました。危険個所もなく快適に歩けたと思っています。
 ポッチー
今迄、人の多い時期を避けてきましたが近畿周辺の山を巡りいまからはその山の持つ特徴を巡って行くのも楽しみ方のひとつだと感じております。今回はバス利用という事で時間制限がありましたが美しい霧氷が見れて嬉しかったです。
ひ め
たいへんだったー。体内は大風邪、体外は大風。
久しぶりのバスの旅でしたし、こんなに登山者と出会うのも久しく無かったことです。
御杖村の霧氷まつりも村人あげての行事のようで、登山者には良い企画のようにも感じました。
ただ私よりも5〜6歳上に受けとめられるデイパックのソロの登山者の多さには驚きです。また数人の婦人の単独行者とも出会いました。できればグループで入山されるほうが良いのでは…。
JON
    入稿待ち
正ちゃん

 写真と文 美智子姫0000