クライミング講座 第4弾
「クライミング講習 in 蓬莱峡」4−2 →悪天候のため座学に変更
●第二回 5月25日(金曜日)蓬莱峡にて実技をする予定でしたが天気予報によると全国的に雨とのこと。クライミングの雨は危険です。午前7時の天気予報で降水確率50%ならば座学に変更と決めました。午前7時、降水確率70%!悩むことなく実技は中止で座学に切り替えました。午前9時阪神野田駅で「KAZUくん」と合流し講習会場へ向かいました。
この場所の壁にはクライミング用の金具が固定されており、ロープワークには最適です。少し狭く感じるかもしれませんが道具が、椅子に座っていても手に届く上に生徒一人ですので充分です。私も復習を兼ねて初心に戻り熱心に耳を傾けました。思い起こせば2007年1月13日第1弾の講習が始まったのです。受講生6人。第2弾は3人、第3弾は1人。そして今回の第4弾、1人の講習となります。

教材に使用する教科書は「全図解クライミングテクニック・山と渓谷社」を使います。午前9時30分から始まって午後3時まで中身の濃い講習であったと満足しています。「KAZUくん」の呑み込みが早く手先も器用なのでしょう。ロープワークはあっという間にマスターした様子でした。
●ルート図の読み方
岩場の形状を表す記号の説明と岩場のグレードを調べ自分の登攀技術が達しているかどうかの判断をするために1級から6級までのクラスがあることを説明しました。
分かり易く言うと「1級は3点確保は不要」「2級はゲートロック、但し今は崩壊して登攀不可能」「3級はロープでの確保が必要」、加えてフリークライミングとアルパインクライミングの違いも学びました。
専門的な名称が岩場で飛び交う中、言葉の理解も大事になってきます。クライムダウンとロアダウンの違いについても理解してもらいました。
●カラビナの種類と使い方
実際に各種のカラビナを並べ、どこがどう違うのか見比べてもらいました。ワンタッチ式は雪山に適さないこと、なぜ適さないのか理論的に説明をし、カラビナに記入している強度についても勉強しました。カラビナはいつでもどんな場合でも片手で操作が簡単に出来るようこ日々練習をしてもらうようにお願いしました。危険個所の通過時(ラビットノット)で、もたもたしていると危険にさらされることがあるのでテレビを見ながらでも操作できるように馴染んでおきたいものです。
●スリングとロープ   
スリングの種類については実物をみながらどの場面でどう使うのか「輪にして縫い合わせてあるテープスリング」、「リングベンドで編んだテープスリング」(ラップ3・プル2)の使い方、ダブルフィッシャーマンノットの結び方など何度も練習を積み重ねました。休憩時間はアイスティーとパイナップルを頬張り、昼食までのわずかな時間を惜しみながらスロープの破損状態などを学びました。
●スリングとカラビナの携行法  
カラビナの何種類もの携行方法をコンパクトにまとめる練習をしました。ロープもスリングも「美しくまとめる」が基本であること、美しくまとめることで
ロープにも負担がかからず取り出すときに敏速にとりだせるのです。リュックを背負ったままでのスリングの掛け方なども学びました。     
●登りだす前の確認
いよいよハーネスを付けてロープを使っての練習です。師匠が突然滑落し、ビレイヤーにかかる衝撃体験もしてもらいました。随分と驚いていましたがビレイヤーは手元は見ずとも操作が出来、目は登攀者を追い続けなければならないことを体験してもらいました。ビレイの仕組みと重要性、集中力の大切さを説明しあとは練習あるのみと何度も何度も繰り返しました.。
師匠が「ハラヘッタ〜!」と言い出し、腹時計と柱時計がピッタンコのためロープのまとめ方、ロープの背負い方を学び午前の部としての講座を修了することにしました。 お昼ご飯は姫特製の豆ごはんです。50年ぶりの同窓会の後、幼な馴染が「えんど豆、ハチク、キャベツ」などの旬の野菜をドッサリと送ってくれたのでそれらを使って作りました。名付けて「四万十弁当」です。勿論お米は故郷米ですよ。
午後からは師匠が眠気に負けぬように場所を移動し「立ったままの講習」に切り替えました(立ったまんまでは寝ないでしょ・・昔、立山で歩きながら睡魔に負けて寝ながら歩いた人知ってる〜!) 
●エイトノットによるハーネスへの連結法   
正しく、そして美しいエイトノットの結び方の練習をしました。「美しい」にこだわるのは、ねじれていたりすると
ロープの強度が変わってくるため何事も最初が肝心と「正しく、早く、美しく」を口が酸っぱくなるほどに繰り返し話をしました。   
 ●確保器のセット
確保器にはエイト環とATCがあり適材適所でどちらも使える様になること、決して器具は落下させないこと、落下させないためにはビレイループからの正しい移動の仕方などを練習しました。「支点作りには少し早いけれども」と、前置きしてリード者のフォローのビレイのための支点の作り方や流動分散も説明しました。   
●ランニングビレイの取り方   
岩場によってさまざまな方法があり、ロープの基本「踏まない、交差させない」を理解してもらいランニングビレイは限りなくまっすぐが好ましく、不可能な場合は長めのスリング等を利用して工夫をする、「岩角にロープが当たったらどうするのですか?」と質問があり、リュックなどを使ってロープを保護をする方法を説明しました。(次々回の実技場所であるホワイトフェイスで実際に見てもらうと質問した内容がよく理解してもらえると思っています)
●支点へのスリングのかけ方
 リードで登ることが不可能ですので、しばらくは支点にスリングをかける作業は任せてはもらえないと思いますが、リードする人は上でこのような構築作業をしているという事、二重、三重の安全対策をしていることを知ってもらいました。
●その他
懸垂下降、エイト環のセットの仕方、ロープ同志のつなぎ方、ハンドホールドのつかみ方、インクノット等、盛りだくさんで詰め込みましたが、テキストの中のどこのページに書いてあるかを知ることが最初は大事だと思っています。「KAZUくん」が4回の講習で全てを理解し、りっぱなクライマーになったとしたら私達の5年間は一体何だったのかとショックが大きいのですが、慌てなくても一歩、一歩正確にかつ安全に岩登りを楽しんで頂けたらと思っています。芦屋・蓬莱峡等の岩場での登攀下降を繰り返すことで、アルプスでの岩場の直面に慌てずに対処できること、アルプスには練習場の岩場ほど厳しい個所に登山道はついていないことなどを最後のまとめとして話し、鹿島槍登山のスライドショーを見て終わりととしました。 
外に出るとの雨は小降りとなっており帰り道にある「松下幸之助創業の地」の看板を見つけ立ち寄りました。「KAZUくん」が、大層お気に入りの句碑でしたので翌日再びおとずれて写真の句碑内容を控えて帰りました。
  第二回目の感想   JON
二回目の蓬莱峡は雨のため座学に変更しましたが、結果的に順序としては良かったと思います。若いのと頭脳明晰につき理解が早いのが何よりです。覚えたことは絶えず反復練習をして、速やかに使えるようにしてください。
カラビナは片手で操作する。決してハーケンの穴に指を入れない。ビレイ中は相手の命を預かっているということを忘れないように。クライミング中の事故はすべてヒューマンエラーと理解しておいてください。
0 美智子姫:記0000