Yamatabi-CLUB000
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雲上の楽園、日本最高所の高原、雨の雲ノ平を行く
●第6日目 9月9日(金曜日・雨)
朝風呂に入りたい気持ちを押し殺して、雨の高天原山荘を後にしました。昨日通過した高天原峠まで戻り、雲上の楽園といわれる、待ちに待った今回の目玉である雲ノ平へと足を踏み入れることかできるのです。雲ノ平は日本最高所の高原であり南面より黒部川源流を発し、北には薬師岳、南に黒部五郎岳、東に鷲羽岳、水晶岳などの名山に囲まれ、大展望を楽しむことができます。中には日本庭園、アラスカ庭園、スイス庭園などのユニークな名前も多くまさに「楽園」とはこのことかと感動でした。しかしどの方向からのアプローチも長く体力、天候などに気を付けなければなりません。アプローチの長さが雲ノ平の価値を高め風俗化の波から守っていると言えるのかもしれません。特別な努力を払って訪れる人たちの聖域であるといっても言い過ぎではないと資料に書かれてありましたが、大きく納得です。
タイムスケジュール
06:00 高天原山荘
07:00 高天原峠
08:00 雲ノ平入り口
08:30 奥スイス庭園
09:40 雲ノ平山荘分岐
12:35 黒部川源流
13:25 三俣山荘
高天原山荘を発って草原に別れを告げ、昨日下りてきた道を高天原峠へとむかいます。
高天原峠から大東新道と道を分けて雲ノ平に向かいます。ここで2人の若者とソロの高齢者は大東新道を下ると言います。昨日通過した経験によると雨のこの道は大変だと感じましたので要点を話しました。若者は問題なく通過できるでしょうが、高齢者にはきつい道です。彼らは長い休憩をとるようだったので「お先に、お気をつけて」と声をかけて雲ノ平へ向かいました。歩き始めて間もなく長い梯子がありました。ガイドブックの地図には「木ハシゴ」と書かれていましたが、なんのなんのステンレス製のハシゴが2段にかけられていました。
ハシゴの横にナットが一個落ちていましたので拾い上げてハイ・パチリ。一個ぐらいでハシゴが外れることはないでしょうが…?

息もたえだえ登りきると最上部でこれから高天原に向かうというソロの高齢登山者とすれ違いました。今回の山行でソロの高齢の登山者に多く出会いました。
ちょっと寒いなあ ロボット観測所 道が無いよー
雲ノ平山荘 濡れた木道はやや滑りやすく神経を使いました。
雨の雲ノ平通過。雨であっても日本最高所の高原であることに変わりはありません 這い松の生い茂る大きな石のゴロゴロした悪路を祖父岳(2825m)鷲羽岳(2924.2m)へと向かうのですが雨のため視界も悪く頂点を踏まずに三俣山荘に向かうことにしました。登山道は小川と化し靴の中は水が大量に入ってしまっています。三俣山荘にへは黒部川の源流を越えなければなりません。上流で降った雨が勢いよく流れており足を滑らせると流されてしまうなぁと緊張しました。
濃霧の日はケルンに助けられます
黒部川の源流渡渉点にくると、疲れていたはずの足も動きます。違うバージョンがくると、俄然元気を取り戻し、ヒョイヒョイとスムーズに徒渉することができました。ここからは小川と化した登山道をひたすら登り続けて、リュックも合羽も靴も雨でボトボトです。途中で「野イチゴ」を見つけレーションがわりに食べましたが甘くておいしかったこと!
黒部源流の碑から三俣山荘までは登山道は小川状態、途中、渡渉にてこずっている方もいらっしゃいましたが順番待ちをして無事に通過しました。
急登りが終わって小さな台地に着くと、そこはテント場になっており数張りのテントがはられていました。まるで水の上に浮かんでいるようです。
こんな日のテント泊は大変だろうなあと思いながらハイマツの中にたたずむ三俣山荘にやっとの思いで到着しました。13時25分です。
三俣山荘につくと、ここも大賑わい、テント場から避難して小屋泊に切り替えた登山者も多くいらっしゃいました。
三俣山荘には既に多くの登山客が到着しており(到着と言うより雨のため連泊中の登山者が多い)チェックインを済ませるとハンガーを1本手渡されました。「雨具を掛けてください。ただしリュックカバーやスパッツ、靴などは乾燥室には入れないでください」との杓子定規的な物言いの女性スタッフの説明に(疲れて、やっと到着したんやから、もう少し優しい説明はできんか?)との思いを抑え、濡れたままのザックカバーやスパッツをぶら下げ2階の指定された場所へ落ち着くことができました。何故ザックカバーやスパッツが乾燥室持ち込みがダメなのか理解できませんが、ああの傲慢な女性に質問するのもしゃくにさわるため、おとなしくナイロン袋に入れておきました。(どうせ明日も雨だから濡れててもいいだろうって考えか?)
三俣山荘は鷲羽岳の直下にあり、訪れる登山客も多い様で、水晶岳から下山してきた人は、「昨日は水晶小屋に泊まったんだけど、布団2枚に3人で寝ましたよ。風も強く小屋ごと吹き飛ばされるのではないかと心配で眠れませんでした」と話しておられました。
荷物の片づけを終えて窓の外を見るとと雨は上がり、くっきりと鷲羽岳が手を伸ばせば届きそうな距離にそびえたっています。
「登りたかったなぁ!ここをスルーしたら一生後悔する!」 姫が独り言にしては大きな声で窓の外の鷲羽岳に向かってささやきました。
鷲羽岳は大きな山容が、まるで鷲の羽を広げた姿に似ていることから名づけられたといいます。
「しゃあないなあ。鷲羽岳に言ってんのか、わしに言ってんのかどっちやねん」
「うん。聞こえるように言うてんねん」
「しゃあないなあ。早朝に登るように検討してみようか、まあ朝の天気次第やなあ」
という事になり夕食後は早々と就寝し鷲羽岳の三角点との出合の夢を見ることにしました。
 (三俣山荘泊)  


美智子姫:記    
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