Yamatabi-CLUB000
岩登り講座3回目 … 暑い厚い、これじゃあまるで岩盤浴
 
●トラ吉衛門さんクライミング入門講座(4の3)
7月10日、トラ吉衛門さんの岩登り講座Bを実施しました。
最初の予定では日曜日を避けて実施という事にしていましだが、予定していた木曜日が雨だったため日曜日に順延しました。第3回目のゲレンデはホワイトフェイスと決めていましたが、よくよく考えたら、まだビレイの方法も教えてなかったことに気が付きました。ホワイトフェイス頂上から叫んでも下のビレイヤーには声が届きません。また途中でギブアップをした場合、少し不安もあることから徹底的にビレイをマスターしてもらおうとゲレンデをA懸垂岩に変更しました。

日曜日とあって阪急芦屋川駅前広場は登山者でごった返しています。「西宮会」の腕章をまいた、かなり年配のスタッフが参加者の整理にあたっていましたが、少し歩けば広い公園があるよ〜。20人以上のときは他の登山者が駅前広場は迷惑するよ。
集合時間が9時なので、ひょっとしたら車を止めるスペースがないかもしれないと想定しポチにドライバー役を依頼してました。
トラ吉衛門さんを乗せ、団体が歩き出さない間に出発をしなければ大変な混雑になります。
芦屋川から高座の滝への道は人・人・人であふれていました。今日は特別に人出が多い様子です。滝の茶屋付近の駐車場は、案の定、駐車スペースはありませんでした。旋回場所に車を止めようとした人がいて「ここはダメですよ」というと「わかってますっ!」と言い残しふてくされ顔でUターンして行きましたが私達がいなければ駐車しそうでした。
地獄谷への降り口は水があふれていたため横移動しながら水たまりの切れたところをめがけて降りました。
ヘルメットをかぶり、水量の多い地獄谷を暑さ知らずで登っていきます。いつも休憩するサメ岩あたりで高齢者の男性1名と、山ガール2名の2組に先を譲り、後ろからついて行くことにしました。山ガールたちは運動を中止してから20年ほどが経過していて、いけるかどうか不安なのか、休憩中のジョンにあれこれと質問をしていました。
聞くところによると初めての地獄谷のようです。ションベン滝のあたりで高齢者の男性が山ガールたちに左手に行く道を勧めていましたが私たちはまっすぐにA懸垂岩に向けて谷筋を進んでいきました。足場が無く少々苦労して登っていた最後の滝は一部崩落していて階段状態です。最近はA懸尾根ばかりを歩いていたのでいつごろ崩落したのかはわかりませんが、簡単に登ることができました。
一足先に到着して準備をしていると、先ほどの山ガールたちがとんでもないところからヌッと現れて、どうしたのかと聞くと1か所、登れないところがあったため藪漕ぎ状態で抜けてきたといいます。
(さっきのお節介爺さん、最後まで面倒見たってや)
A懸垂岩に到着し、2人ともカメラを忘れたことに気が付きましたが「あとのまつり」です。
日差しはまだ午前10時前だというのに、カンカン照りで岩場もすでに熱く感じます。
「この暑さだと目玉焼きができそうやなあ」

ロープの場所確保のために、姫がリードで登ります。
支点のセツトを完了、トップロープのセット完了。ロープを引き上げクリップしたヌンチャクからロープを引き抜き再度ロープダウン。
懸垂下降で降りて、さあ、いよいよ講習のスタートです。
まず前回実施から時間が経過しているため、エイト結びの復習から始めます。同時にクライミングの必要性もその都度、学んでもらいました。A懸垂岩は比較的登りやすく初心の人には自信がつくゲレンデです。
蓬莱峡・不動岩とたくさん練習場はありますが、最初からむずかしい場所で練習してクライミングをつまらなくするよりも、制覇できた喜びを味わい、次なる挑戦に向けるほうが大切だと思っています。トラ吉衛門さんは若いという事もあり、なかなか飲み込みが早く私たちが1年かけて学んだことを4回の講習でマスターしそうな勢いで圧倒されます。
突然ジョンが岩場の途中で宙吊りになりました。
ビレイの大切さ、パートナーの大切さを知ってもらうためまた、なぜバックアップが必要か、下に待機するクライマーにも役割分担があることなど知ってもらいます。
クライマーが落下したとき、手にかかる荷重、ロープの伸び具合等をしっかりマスターし、午後からは悠々とビレイができるようになりました。通過する野次馬も多く大変でした〜!
しかし高齢者のリーダーほどメンバーに説明したがるような傾向にありますね。こちらのコールが聞こえないほど大きな声で話したり、登山とは関係の無いことを大声で話したり、「リーダーをするなら山岳会でリーダー研修を受けてきたら。」
ついぼやきの一言が出ます。

七種槍で摘み取った「ワラビ」の天婦羅を弁当のおかずにして、しばし昼食タイム。谷を吹き抜けていく爽やかな風に癒されながらのひととき。
今日のロックガーデンは熱中症患者が発生しているのではないかと思うほど暑く時折、ヘリコプターの音を気にしながら午後の講習を再開し、何度も岩場を登り、懸垂下降、クライムダウン、ロアダウンを繰り返し、有意義な講習も終わりに近づきます。
さあ終了しようかとロープの回収をした途端、受講生らしき山ガールとガイド兼用のおじさんがA懸垂岩にロープを張り始めました。見学をしたい気持ちもありましたが、「お先に!」と声をかけて地獄谷を下ることにしました。水量が多いことから、ハーネスはつけたまま、危険個所と思われる個所ではロープを使い懸垂下降で降り、いま学んだことを復習するのに絶好のチャンスです。
岩場を楽しむだけでなく山行中にこんな場面が出た場合は、こうして降りるということを体験することができました。岩場は濡れていてツルツルと滑りトラ吉衛門さんは一度は、掴んだ手が外れズルっ〜!、もう一度はロープの流れに逆らって振られてドボン〜!怪我がなくてよかったですぅ。

滝の茶屋到着が午後3時前で、おでんの匂いにつられ、中に入りビールをキュッと飲み干しました。汗をかいた後のビールは、緊張の糸もほぐれ美味しかったなぁ!

トラ吉衛門さんの講習ではありましたが同行させていただくことで私自身も勉強になりました。クライミングの時の荷物は13s、これも鹿島槍行きの訓練と受け止めると、七種槍に続き連日のトレーニングになったと思って喜んでいます。鹿島槍は連続4日間歩き続けるのですから、今日で根をあげていてはゴールできません。あと1回、出発までに有馬返しいけるかなぁ

  ジョンのアドバイス
地獄谷の通過者は以前にまして多くなったような気がしました。この日は特に暑かったせいか中央稜を避け高座谷や地獄谷に登山者が溢れているようです。地獄谷を安全に通過するためにはクライミングの基本ぐらいは身に着けてほしいと思っています。最近の地獄谷は水線を避けて巻き道を歩く登山者が多いようですが、山の歩き方を知り、岩場の通過の仕方を知ってから遡行してほしいと思いますし、水線を辿れなければ地獄谷には入らないほうが良いかも知れません。

クライミングは登攀することより、システムを確実にマスターすることが先決です。特に安全確保の仕方、ロープの結び方、ハーネスの装着方法、ギアの使い方など、一度聞いたことは必ず守ることです。自己ビレイをとらずに岩の上に立つような人は信用できません。そんな状態でビレイをするなど論外です。まず基本を大切に、システムを確実に覚えてください。確実なビレイや安全策を講じることができればクライマーの輪は広がっていきます。

掲載しています写真は携帯で撮影したものです。
0美智子姫:記