高島トレイルA 黒河峠〜抜土 「空は限りなく鉛色…なれど心は晴れ」

梅雨の真っ只中、高島トレイル第2回目の実施日となりました。最初の予定では資料に基づき、黒河峠から寒風を予定していましたが、下山2時間、第3回目の取り付き2時間以上を考えると2時間かけて抜土まで繋いだ方が楽であることがわかりました。すでに車のデポ場所(今回はデポではなくてポチが回送)も下見を終えており、工事中であった道路も日曜日は作業無しという確認もできています。今回は少し窮屈ではありますが、四万十号は出さずに、オリオン号に全員譲り合って乗車させてもらうことにしました。1回目のメンバーと新たなメンバーもお迎えして午前7時、阪急電車石橋駅集合となりました。
天候は曇り、時々、小雨。コース
は黒河峠〜三国山〜明王の禿〜赤坂山〜-粟柄越〜寒風〜大谷山〜抜土 歩行距離にして9.2km(公式認定)の予定です
(GPSの測定距離は11.14kmでした)
メタセコイヤの並木道では、わざわざ車を降りて、道路いっぱいに並び記念撮影
(やまたび倶楽部表紙に掲載中)をする余裕さえ出て、期待に胸ふくらませて黒河峠へと向かいました。
黒河峠から三国山への峰道は小雨に濡れた花々がいっぱい…ナヌ枯れた花もあったって…そりゃあ60年も経てば…ね!
午前10時、回送車係のポチに見送られて出発することになりました。小雨対策でみんな合羽を装着しましたが、これが、あとあと暑さを招く結果となり三国山(876.3b)では全員、合羽を脱ぐこととなりました。どんよりと曇り空ではありましたが、ゴールまで一粒の雨にも遭うことはありませんでした。
 
「黒河峠から寒風コースが一番良い」との前評判が飛び交いましたが、今日のコースは中央分水嶺という名のとおり尾根歩きがほとんど。晴天ならば、日本海と琵琶湖が望めること間違いなしなのですが、今日は残念ながら視界ゼロです。第1回目で感じたことや下見で感じたことを「びわ湖高島観光協会」にメールをいれて道路の整備、看板の修繕等をお願いしていますがさてさていかがなものでしょうか。どれほどに登山者の声を反映してくれているか、それも期待するところです。

黒河峠からのスタートは三国山に向けて、すぐに直登となるため、ストレッチを充分に済ませ、稜線歩きの時だけでも視界が良くなることを期待し、今日はどんな花に出会えるのでしょうか、くろねこ花博士に説明してもらいながら風景を楽しみながらゴールへ向けて歩いて行きたいと思っていました。道すがら「コアジサイ」が美しく咲き、「ゆうれい草」
「山ぼうし」「山百合」などに出会うたびに、くろねこ花博士の説明にみんな聞き入っていました。
最初の目標は、福井県と滋賀県の県境にある三国山(876.3b)。三国とは越前、若狭、近江の国のことで黒河峠から1時間ほどで三国山に到着。登山道はとても歩きやすく、人気が高いのも頷けますがアクセスの悪さを他の登山者は、どのようにカバーしているのか知りたいところであります。頂上は10人もいれば、座るところがなくなるくらい狭く、我々の貸し切りとなりました。途中で下山中の女性2人に出会い、どこから降りて来たのか聞くと、どうも木道のある小湿原の散策の様子でした。そう言えば黒河峠に京都ナンバーの車が駐車していましたが彼女達の車だった様です。
衣類調整(合羽の脱着)と水分補給を取り、明王の禿をめざすことになりました。天気ならば素晴らしい景色の様ですが今日は何も見えません。明王の禿への急な階段を上ると、鉄の鎖のある頂上に出、花崗岩の砂質が流れ、岩が残り、独特の風景を作っていました。晴天ならば、東は伊吹山や手前の小谷山が、南は琵琶湖や比良の山々が望めるビューポイントなのですが風の通り道、すがすがしい気分は曇り空でも味わうことができました。ここで時間は11時51分。小腹も減り始めたことから赤坂山へ急ぐことにしました。今日はまだヘリコプターの音はしていませんが、もし見えたとしても「遭難か?」と紛らわしいので決してヘリコプターに向かって手を振らないようにしたいといつも思っています。
明王の禿は濃霧の中…晴れていたらすばらしい奇勝を見せてくれたことでしょう。
赤坂山(823.8b)は冬場にスノーシューで訪れたことのある地で、雪で埋もれていた看板も、今日はくっきりと見ることができました。赤坂山は人気の山とあって登山者も沢山いるはずなのですが、あいにくの天気のせいか、マキノから登ってきたと言う3人組と出会っただけでした。
 
お昼は赤坂山頂上。スノーシューの時は雪の上で寒さに震えながらカップラーメンすすったよなぁ。時間は12時15分、さあ弁当でも広げようかとしたその時、「痛いっ!やられたっ!」ジョンの声に振り向くと右手親指を蜂に刺されてしまいました。すぐさまリュックの外ポケットから(とっさに取り出せないと用を足さない)インセクト・ポイズン・リムーバーを出し、吸い出そうとしましたが刺された場所が指先なのでなかなかうまく行きません。カッターナイフで切開しようと言うことになり本人が「蜂刺されより、姫にカッターで切られた傷口の方が痛かった」と言われましたが、流血するまでカッターの刃を入れ、毒素を絞り出しました。その後、再度リムーバーを使い吸いだしたところシビレがスーッと引いて楽になった様子でした。シビレの取れたところで毒素が抜けたと判断し、飲料用の氷水で洗浄し、抗菌性物質を含むドルマイコーチ軟膏を塗り、バンドエイドで処置完了。まだブーンブーンと不気味な襲撃音を立てて旋回しているため、急遽赤坂山頂上での昼食を中止し、粟柄越え分岐まで下がり安全な場所で弁当を広げました。そんな状況下であっても赤坂山頂上での、「点の記撮影会」は決して忘れませんでした。
昼食を済ませたあとは、寒風へと目指していきます。赤坂山・寒風・大谷山は、滋賀県と福井県の県境に位置し、野坂山地の北部にあります。ともに、中央分水嶺の高島トレイルの一角を形成しています。三山共に、標高800mの範囲内にあり、大きな鞍部もなく緩やかな尾根を形成し、草原のような表情で、登山道がシュプールを描くように遠くからでもみることができます。寒風山(859b)の頂上も踏み、残念ながら尾根道から360度の展望は今回はあおずけでした。アップダウンも少なく快適に足が前に進みます。途中にブナ林帯が少しあり、再び風の当たる尾根を進むと寒風に到着。やっぱり寒風の風はきつくて寒い?いやいや今日は心地よい、そよ風でしたよ。寒風到着は14時02分、順調なペースです。
寒風で首長族の長老に出会いましたよ。
寒風から約40分ほどで大谷山到着。ほとんど草原の中の道をいいペースで進みゴールもあとわずかです。大谷山の登りでポチから携帯が鳴りましたが電波状態が悪く通話はできませんでしたが、時間的にそろそろゴールかと掛けて来たように思います。工事車両に邪魔されずに抜土まで来れたのか、車に落石や木の枝などで傷を付けていないか気になり何度も携帯電話を入れるも繋がりませんでした。次回からは無線を利用することにしました。大谷山からは抜土に向けて下るだけとなり、不思議な形をしたブナの木達が「奇木の展示場」の様に立ち並んでいました。「ブナの木の鼓動を聞こう」と言うことになり一同、ブナの木に、耳をくっつけ必死で聞いてみましたが・・・・ザンネンでした。きこえませんでした。
その後もダンスをしているような木があったり、動物の形に似た木があったりと、おとぎの国に迷い込んだ気分を楽しみました。
「お〜い、お〜い」はるか下の方でポチの声がします。ポチが私達の帰りを待っていてくれました。工事中の道をくぐり抜けれたんやね。回送車がいなければ、さらに林道を歩くこと8.2q、時間にして2時間の長くてつらい地獄の様なアスファルト歩きをしなければなりませんでした。
 
そばを流れる小川で、ドロドロの登山靴をブラシで洗い、汗で濡れた服を着替え、大阪に向けて安全運転で走行中の車内は、反省会や次回の相談など、まだまだ元気いっぱいの様子でした。
歩いた人、車の回送、共に「ごくろうさん!おつかれさん!」
抜土への最後の下りで道間違いしちゃった。高島トレイルの公式地図をよーく見たら上と下にルートが載ってる。下側を行かなくっちゃあいけなかったんだけどネ。おしゃべりがすぎて見落としたのかなあ。それとも飛ばしすぎていたからかなあ。あの辺りで転んだからそのときやったんかなあ。反省しきり。
今度行ったら確認しておこっと。
(教訓)
●飲料水の中の1本は「水」を持参すると応急処置に役立つ
●その日のトップ、アンカーなどの配列を決め、ゴールまでその体制を崩さない
●車の中を清潔に保つため、登山靴を脱ぎ、スリッパやスニーカーが望ましい
●歩行タイムは最初30分、その後50分を正確に摂る方がスムーズに歩ける


そうだ!
看板が判りにくいとか、テープがきたないとか、
高島トレイル運営協議会さんに文句ばっかり言ってないで、3回目に行くときはドライバーと木ネジを持って行って修理してこようっと。

なぜ釘とトンカチじゃあなくて、ドライバーと木ネジなの!
そりゃあ、ドライバーと木ネジのほうが軽いもん!

なるほどなるほど。人間って綺麗なところを歩いていると、心も綺麗になるのかねえ。高島トレイルさまさまだね。
お借りした車輌を入念にチェック林道で木々に擦ってないか心配デーす。
姑根性で入念にチェック
またチェック
大丈夫だったヨー。
車輌をどろどろにしちゃあいけないので登山靴を綺麗に洗ってね。
見えるところや横だけじゃあダメ。裏のパターンも綺麗に泥を落としてね。
ここで「マキノの山」は終わりです。次回からは「今津の山」となります。
文:久田美智子 写真:GPSデータ 鹿島秀元
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